日本美術刀剣保存協会 東京都支部



◆2023年度 第三回鑑賞研究会◆

2023年10月21日(土)

於:東京美術倶楽部

 刀剣一本入札鑑定
 刀 剣:『国広とその弟子』 冥賀 吉也 講師
 刀装具:『構造からみた小柄について』 葉山 修陽 講師



東京都支部 10月鑑賞会報告      生野直輝

去る令和5年10月21日(土)
東京美術倶楽部4階において東京都支部の定例鑑賞会が行われました。
今回も60名以上の方にご参加頂き、活気のある定例会になりました。

鑑賞・入札の時間の後、まずは刀装具について葉山修陽講師に解説して頂きました。
今回は『構造からみた小柄について』と題して、
刀に甲伏せや三枚鍛えのような造り方の違いがあるように、
小柄にも造り方の違いがあることについて講義が行われました。
一枚の金属を折りたたむようにして蝋付けする「一枚張り」、
刃方と棟方で別々の板を蝋付けする「二枚張り」、
地板をはめ込む「地板嵌込式」の3つの方式があるとのことでした。

また、特に1枚張りは時代が上がることや、
方式によって魚子や彫刻を施せる範囲が変わってくることなど、
また紋にも打ち出しや据紋があること等、様々な視点から解説して頂きました。

会場には、後藤家各代の作や町彫、水戸金工など、実際に名工の手によって様々な方法で作られた
小柄20点以上が並び、参加者の皆様も構造を確かめながら鑑賞されていました。
今後小柄を見る際には是非作り方も気にしてみてほしいとのことで、
新鮮な視点から小柄の奥深さを学ぶことができ大変勉強になりました。

続いて、鑑賞刀について冥賀吉也講師より解説を頂きました。
今回のテーマは『国広とその弟子』であり、国広には天正四年から慶長18年までの38年間の有年紀作が遺されており、天正十九年までの作と、有年紀作未見の期間を挟んで慶長四年からの作では作風が大きく変わること、いわゆる天正打は末相州と末関両方の要素をもつ作風であり、堀川打は志津・貞宗等の相州上工を狙った作品が多いこと、力強い彫にも魅力があること等、詳細に解説して頂きました。
鑑賞刀として、国広の名刀7振の他、通説国広の父とされる実忠の刀や、広実、出羽大掾国路、和泉守国貞(初代)など、国広の弟子達の作品がずらりと揃い、中には先日古河歴史博物館で開催された「かえってきた堀川國廣」展で展示されていた刀も含まれておりました。
これだけの数の国広やその弟子の名品を手にとって見られる機会はまずありませんから、冥加講師の解説と合わせて大変貴重な勉強をさせていただきました。
また、国広がテーマと聞いて他支部からお越し頂いた方もいらっしゃたようで、国広の人気を改めて実感いたしました。

一本入札の鑑定刀は、以下の5振で、同じく冥賀吉也講師に解説を頂きました。

一号刀 (金象眼)長光 薫山(花押)
二号刀 対馬入道知休常光
三号刀 藤嶋友重
四号刀 以南蛮鉄於駿州越前康継
五号刀 出羽大掾藤原国路

成績上位者は以下の通りでした(敬称略)。

天位 太田士朗
地位 来嶋弘一
人位 熊谷和平 堀込晋

次回の鑑賞会は2024年2月18日(土)となります。


 





◆2023年度 第二回鑑賞研究会◆

2023年7月15日(土)

於:東京美術倶楽部
 刀剣一本入札鑑定
 刀 剣:『短刀時代の変遷』 岩田 隆 講師
 刀装具:『目抜きについて~蝦夷から明治金工まで~』 葉山 修陽 講師



東京都支部 7月鑑賞会報告  堀込 晋

去る7月15日、東京美術倶楽部にて東京都支部の定例鑑賞会が開催されました。
蒸し暑い日となりましたが、52名を越す多数の方々にご参加いただきました。

当日のテーマは
刀剣「短刀時代の変遷」
刀装具「目抜きについて~蝦夷から明治金工まで~」
刀剣一本入札鑑定

まず刀装具について葉山修陽講師により解説を頂きました。
目抜きの位置や大小における大きさ・方向から作り方、色絵、時代背景を蝦夷、古金工、古美濃、
代々の後藤から江戸・京金工、幕末明治の一乗・夏雄までの目抜きの歴史を詳細にご説明頂き、
非常に勉強になりました。

刀剣につきましては岩田隆先生を講師にお招きし、一本入札鑑定刀の解説がなされました。

鑑定刀は、以下の5振りでした。
1号刀 「盛光」
2号刀 「正重(千子)」
3号刀 「藤嶋友重」
4号刀 「繁昌」
5号刀 「助綱(鎌倉一文字)」

以上一本入札としてはかなり難しい刀が並び、入札はとても苦労いたしましたが大変勉強になりました。
解説においては応永備前の特徴や繫慶と繁昌の作風や茎仕立ての差異、助真の子助綱の見どころ
といった説明を頂きました。特に繫昌・助綱は滅多に拝見できない刀工でしたので、忘れないよう
目に焼き付けておきたいと思います。

成績上位者は以下のとおりでした。
天位 岡澤 瞳氏・中村和人氏・冥賀亮典氏
地位 花枝昇一氏・堀込 晋
人位 二階堂克弥氏
(50音順)

続いて鑑賞刀「短刀時代の変遷」の解説に移り、素晴らしい短刀の名品24振の刀が並び
細かな解説を頂きました。
重要美術品の粟田口国吉の剣をはじめ、粟田口・来・新藤五・景光や貞宗・長谷部といった鎌倉南北朝から
短刀の少ない新刀期の虎徹・真改まで各時代の名品が一堂に会し、時代ごとの特徴の変遷を学ぶ
素晴らしい機会となりました。
新藤五国廣の地鉄、延寿国時の姿の美しさ、埋忠明寿の彫刻や虎徹、真改の明るく冴えた匂口が
とても印象に残っております。

すべての解説が終了した後も、多くの方がこの機を逃すまいと終了時刻ぎりぎりまで熱心に鑑賞されておりました。

次回の鑑賞会は10月21日(土)となります。






◆2023年度 第1回鑑賞研究会◆

2023年4月15日(土)

於:東京美術倶楽部
 刀剣一本入札鑑定:大平 将広 講師
 刀 剣:『吉原義人刀匠による実演ならびに講演』 吉原 義人 講師
     鑑賞刀 志津三郎兼氏 他
 刀装具:拵えづくりのいろはと注意点 竹本 福一 講師



東京都支部四月定例鑑賞会報告  服部一隆

東京都支部の定例鑑賞会は四月十五日東京美術倶楽部四階にて開催されました。
小雨のちらつく空模様でしたが六十名を越える方々にご参加頂きました。

今回は日本美術刀剣保存協会無鑑査刀匠の吉原義人刀匠をお招きし、
実際に土置きの実演を交えつつご講話頂きました。
会員の皆様も貴重な機会に非常に熱心にご覧になり、多くの質問も寄せられ、
刃紋による違い、微妙な温度の差による焼き入れの難しさ等様々なお話と共にお話し頂きました。
また若年期に作刀された物から高松宮賞受賞作、昨年作刀の作品等も並べられ
こちらも皆様熱心に鑑賞されておられました。

刀装具につきましては竹本福一氏を講師にお迎えし「拵え造りのいろはと注意点」として
実際に制作された拵え、集められた刀装具等お持ち頂き、拵えを作る際にご苦労された点、
工夫された所、そしてなにより刀装の歴史を絶やさない為にも、
是非多くの人に職人の方々に制作を依頼して欲しいと強くお話頂きました。

続いて一本入札鑑定の解説に大平将広氏を講師にお迎えし以下の五振が並べられました。

鑑定刀

一号刀 太刀 折り返し銘 一
二号刀 薙刀直し脇差 一(吉岡一文字)
三号刀 刀 無銘 保昌
四号刀 短刀 備前国住長船祐定 弘治二年二二月吉日
五号刀 脇差 平安城住国路 慶長拾七年吉日

大平氏は初の講師という事でしたがそれを感じさせない丁寧な解説で
それぞれの刀について姿、刃紋、地金見紛いやすい部分、類する物や違い等細かな点も
とても分かりやすくご説明頂き大変勉強になりました。

成績上位者は

天位 宇都宮勝之氏
地位 会田功氏 中村和人氏
人位 中村圭祐氏 奈良原和夫氏 松本啓之亮氏

最後に鑑賞刀「志津三郎兼氏とその系譜」をテーマに並びました美濃の刀につきまして
飯田慶雄氏にご解説頂きました。
在銘の兼氏の短刀を筆頭に志津、直江志津、美濃千手院、志賀関兼延、
兼定(之定)、孫六兼元、鞍馬関等が並び、貴重な年紀入り作もあり、
美濃へ至る流れや作風の違い等を詳細に解説して頂きました。

いつにも増す盛り沢山の内容となり充実した時間を皆様と共に過ごし十六時に散会となりました。

次回は七月十五日(土)、東京美術倶楽部にて開催予定となります。






◆2022年度 第4回鑑賞研究会◆

2023年2月18日(土)

於:東京美術倶楽部

 刀剣一本入札鑑定:紙谷 治宏 講師
 刀 剣:『末古刀について』 紙谷 治宏 講師
     山中鹿之助佩刀の刀
     与三左衛門尉祐定 和泉守兼定 孫六兼元 他全国の有名刀工の魅力溢れる名刀20余振展示
 刀装具:拵と笄について 葉山 修陽 講師

・刀 備前国住長船与三左衛門尉祐定作(重要美術品)山中鹿助脇指剣也 鯰江左京亮所持之
・刀 備前国住長船勝光宗光 備中於草壁作(重要美術品)文明十八年拾二月十三日
・刀 備前国住長船五郎左衛門尉清光 (重要刀剣)為政秀作之 天文廿四年八月吉日
・刀 和泉守藤原兼定作(之定) (重要刀剣)
・刀 兼元(孫六) (重要刀剣)
・刀 兼則 (重要刀剣)


東京都支部 2月鑑賞会報告      生野直樹

 

去る令和5年2月18日、東京美術倶楽部4階において東京都支部の定例鑑賞会が行われました。

当日は厳しい寒さが緩み天候にも恵まれ、76名の方にご参加頂く賑やかな会となりました。
また今回は、都支部の会員のみならず、他支部からも多くの方にご参加頂きました。

 

解説に先立ち、葉山修陽会長よりご挨拶があり、
今年1月に亡くなられた前東京都支部長の園平治氏に黙祷が捧げられました。

 

今回の刀装具のテーマは「拵と笄について」で、武田信玄佩用で乗真作の三所や、祐乗の三所をはじめ、

大小拵・小さ刀拵、笄や鍔など名品や珍しい品が並びました。

講師は葉山会長で、大小拵や小さ刀拵、打刀拵における小柄・笄や下緒の原則、
笄はいつ頃からあったのか、古い笄の特徴など、笄を中心に説明して頂きました。

是非皆様には、笄にも注目して頂きその良さを知ってほしいとのことで、大変勉強になりました。

 

鑑賞刀は「末古刀について」がテーマで、
会場には、山中鹿助の差料であった備前国住長船与三左衛門尉祐定作(重要美術品)、
備前国住長船勝光宗光 備中於草壁作(重要美術品)、備前国住長船五郎左衛門尉清光(重要刀剣)、
和泉守藤原兼定作(之定)(重要刀剣)、兼元(孫六)(重要刀剣)、兼則(重要刀剣)をはじめ、
島田、小田原相州、下原、美濃、北陸、宇多、肥後、など全国各地の末古刀合わせて23振が並びました。

著名な重要美術品や、各地の優刀が見られる貴重な機会に、参加者の方々も真剣に鑑賞なさっていました。

解説は紙谷治宏講師で、各刀工の見所をはじめ、地域を超えた時代の特徴や流行について詳細な説明をして頂きました。

 

一本入札の鑑定刀は、

 

一号刀 兼元(初代)

二号刀 平安城吉房

三号刀 備前国住長船祐定 永正十二二年二月日

四号刀 兼定

五号刀 綱家作

 

の5振で、同じく紙谷治宏講師に解説を頂きました。

 

成績上位者は以下の通りでした(敬称略)。

 

天位 堀込晋

地位 唐木洋美

人位 緒方嘉隆、池永順一

 

新年最初の会ということで、成績優秀者には記念品が送られました。

次回の定例鑑賞会は、2023年4月15日(土)に、東京美術倶楽部4階にて開催予定です







◆2022年度 第3回鑑賞研究会

20221029日(土)

於:東京美術倶楽部


刀剣一本入札鑑定解説 冥賀吉也 講師

刀剣『鎌倉殿時代の刀剣』 冥賀吉也 講師

刀装具『刀装具の作成手法』  葉山修陽 講師


東京都支部 10月鑑賞会報告 山階崇史

令和41029日東京美術倶楽部において東京都支部定例鑑賞会が行われました。

秋も深まりとても肌寒い気候となりましたが57人の方が出席され、とても活気のある会となりました。

刀装具のテーマは「刀装具の作成手法」という事で様々な手法で作られた小道具が並び、

葉山修陽講師にそれぞれの作品の地金、地面、彫りの種類や技法についてなどの違いを解説して頂きました。

鑑賞刀のテーマは「鎌倉殿時代の刀剣」と言う事で
主に平安後期から鎌倉初期にかけての重要美術品3振、

特別重要刀剣4振を含む18振が並びました。

この時代の刀剣を一度に沢山見る機会は滅多にありませんので、
同時代でもこれほど姿や作風に差があるのだととても勉強になりました。
鑑賞刀・鑑定刀については冥賀吉也講師に解説して頂き、時代背景にも触れながら

姿を中心にそれぞれの作風について詳細に解説をしていただきました。

参考刀には今泉濬氏より大包平写の大太刀「備前國包平作 平成七年八月日/傘笠正峯 忌今泉濬賢台」
を出品して頂きました。

鑑定刀

一号刀 次郎太郎直勝

二号刀 固山宗次

三号刀 山浦正行(清麿)

四号刀 細川正義

五号刀 栗原信秀

六号刀 細川正守

天位・山階崇史

地位・坂田龍一

人位・堀込晋

(敬称略)

 

刀の勉強をはじめて4年半が経ち、知れば知るほど刀の奥深さに感銘を受け勉強してまいり

今回初めて天位を取ることができました。

これも全て師匠である藤代興里先生、龍哉さんをはじめ沢山の方々にご指導いただいたおかげです。

今まで育てて頂き本当にありがとうございました。

これからも慢心せずに精進していきたいと思いますのでよろしくお願い致します。

次回は218()13時より東京美術倶楽部にて開催いたします。





◆2022年度 第2回鑑賞研究会

2022716日(土)

於:東京美術倶楽部


刀剣一本入札鑑定解説 岩田隆 講師

刀剣『大和物』 岩田隆 講師

刀装具『金工の雅号について(浜野系の礼を中心に)』  濱崎旨朗 講師


東京都支部 7月鑑賞会報告  生野直樹

 

去る令和4716日、東京美術倶楽部に於いて東京都支部の定例鑑賞会が行われました。
当日は夕方以降激しい雨も予想される生憎の天気でしたが、50名以上の方にご参加いただきました。

今回の刀装具のテーマは、「金工の雅号について(浜野系の例を中心に)」で、
会場には奈良利寿、政随、炬随、直随、岩間政盧などの作品が25点以上並びました。
解説は濱崎旨朗講師にしていただきました。

入道した場合の号とは異なり、雅号は一人で複数を使うことがあり、特に浜野系は雅号の数が多く、
例えば政随は少なくとも13個もの雅号を使用していること、さらに各金工の図柄や作風についてなどを、
実際の作品を見ながらとても分かりやすく解説していただきました。
珍しいテーマに参加者の方々も聞き入っていました。


鑑賞刀のテーマは「大和物について」で、岩田隆講師より解説をいただきました。
鑑賞刀は「大和物」というテーマに沿って、
千手院・大麻・手掻・保昌・尻懸の各派の優品合わせて19振が並びました。

鎬が高く、鎬幅広く、重ねが厚いといった大和物一般の造り込みの特徴から、
各流派・刀工の特徴まで細かく解説していただけました。

これほどの数の大和物を一度に手に取って拝見できる機会はまず無く、大変勉強になりました。

鑑定刀は以下の通りでした。

1
号刀 国時(延寿)
2
号刀 出羽大掾藤原国路
3
号刀 大和則長作(尻懸)
4
号刀 藤原包吉作(末手掻)
5
号刀 信国(初代)

成績上位者は

天位 緒方嘉隆
地位 松本啓之亮
人位 大平将広

でした(敬称略)。

次回は1029()、東京美術倶楽部にて開催予定です。



 




◆2022
年度 第1回鑑賞研究会

2022416日(土)

於:東京美術倶楽部

刀剣一本入札鑑定解説 藤代龍哉 講師

刀剣『東山文化頃の日本刀』 飯田慶雄 講師

刀装具『後藤家上三代の刀装具について』  池田長正 講師



四月定例鑑賞会報告    東京都支部 山階崇史


令和4年4月16日東京美術倶楽部において
東京都支部定例鑑賞会が行われました。
まだ寒さの残る中65名の方に参加していただき、
とても活気のある会となりました。

今回の鑑賞刀のテーマは「東山文化頃の日本刀」
刀装具のテーマは「後藤家上三代の刀装具について」

刀装具のテーマである「後藤家上三代」と同時代の刀という事で
鑑賞刀もその時代の年紀入りの作品15振が並びました。
なかでも則光は、
永享二年、十二年、寛正三年、文明二年の4振の作品が並び
各時代に於ける同工の作風の変遷をよく知ることができました。
そのほか盛光、康光、忠光、祐定、在銘作の少ない
秀助の太刀なども並びました。


鑑賞刀の解説は飯田慶雄講師にして頂き、
それぞれの作品の見どころを時代ごとの
作風の変遷と照らし合わせながら紹介して頂き、
時折その刀の年代とその当時の後藤家についても触れながら
とても分かりやすく解説していただきました。


刀装具は祐乗、宗乗、乗真などの作品が数多く並ぶ中、
池田長正講師にそれぞれの図柄の特徴や
折り紙についてなど詳細に解説して頂き、
普段研師の修行中である私自身なかなか触れることのない
後藤家上三代の作品についてとても見識が広がりました。


鑑定刀は

一号刀 「(折り返し銘)備州長船重真」

二号刀 「信国」 三号刀 「肥前国忠吉」

四号刀 「越後守包貞/二ツ胴落」

五号刀 「藤原清人作/万延元年八月吉日」


鑑定刀については研師である藤代龍哉講師に解説して頂き、
刀の研磨や研師の視点から観る刀についてなど
参加者の方々はとても真剣に解説を聞き入っており、
弟子の私としてもとても勉強になりました。


天位 花枝昇一氏 冥賀亮典氏

地位 会田攻氏 池田長正氏 太田士朗氏 
    瀬下友里子氏 帆足真耶氏 堀込晋氏

人位 緒方嘉隆氏 奈良原和夫氏 吉野太一氏


次回は7月16日に東京美術倶楽部にて開催いたします。


 刀剣鑑賞の風景  刀剣鑑賞の風景
 鑑賞研究会 開会の挨拶
葉山支部長
刀装具 『後藤家上三代の刀装具について』
池田長正 講師
 刀剣 『東山文化頃の日本刀』
飯田慶雄 講師
刀剣一本入札鑑定解説
藤代龍哉 講師


◆2021年度 第2回鑑賞研究会

2022122日(土)

於:東京美術倶楽部


刀剣一本入札鑑定

刀剣『長曾祢虎徹興里とその周辺』 岩田 隆 講師

刀装具『虎を題材にした刀装具』  星野 秀一 講師


1月定例観賞会報告      東京都支部 冥賀亮典

令和4122日、東京美術倶楽部において東京都支部正月鑑賞研究会が開催されました。

冬らしい空気の澄み切った空のもとコロナ禍のなかにも拘わらず70余名の方が出席されました。

刀剣のテーマは「長曽弥虎徹興里とその周辺」として、重要美術品1振、特別重要刀剣3振を含む興里11振をはじめ、
珍しい興里作の鐔や小刀も並びました。初期の「奧里」銘にはじまり前期の「虎(ハネトラ)」から後期の「乕(ハコトラ)」まで
興里の各時代の作品が網羅され、見事な龍図の彫物が施されたものや、珍しい前田家に伝来した薙刀などもありました。


ほかに長曽弥興正6振、和泉守兼重2振、法城寺正弘4振、法城寺吉次1振、法城寺国照1振、法城寺正照1振、
千手院盛国1振、三善長道1振の計30振が陳列されました。


興里は寛文48月を境としてトラの字を換えているので前期を「虎(ハネトラ)」、後期を「乕(ハコトラ)」とされています。

作風は、ハバキ元に直ぐの江戸焼出しをみせ、地刃ともに明るく冴えます。大切先や片切り刃造りのものもあり
それらには濃密な彫物が施されています。

稀に直刃もあり、ほかに江義弘写しや匂口が深いもの、締まったものもあるとのことでした。

「虎(ハネトラ)」時代は、焼出しも長めで、刃文は大小の互の目を2つ連ねた、瓢箪を真横に切り割ったような
いわゆる「瓢箪刃」を焼き、帽子は地蔵風か丸く、棟は急峻となります。


「乕(ハコトラ)」時代は、焼出しも短めで、刃文は頭の丸い数珠を連ねたようないわゆる「数珠刃」を焼き、
帽子は横手辺りで焼き込んだ「虎徹帽子」となり、棟は緩やかとなる、
などと岩田隆講師から詳細な解説をしていただきました。


刀装具のテーマは「虎を題材にした刀装具」として、
後藤光乗・廉乗・光寿・延乗、横谷宗珉・宗與、村上如竹、岩本昆寛、土屋安親、浜野直随、田邊伴正、後藤光正、
大月光興・光弘、篠山篤興、天光堂秀国、皆山応起、上杉加津貫、岩澤了意、一柳友善、浜野基利、関義胤、加納夏雄、
赤文、野村正秀ら名工の31点の名品が並びました。

今年は36年に一度の「五黄の寅」にあたり、「虎は千里行って千里帰る」、
また金運など縁起の良いことから人気が高いので刀装具の画題としても広く用いられているそうです。
星野秀一講師から作品それぞれに詳細な解説をしていただきました。


恒例の刀剣一本入札鑑定は岩田隆講師より詳細な解説がありました。

鑑定刀の5振は鎌倉~南北朝時代の備前物の在銘の太刀で、
すべて重要美術品に認定された名刀という豪華なものでした。

鑑定刀は以下の通りです。

一号刀、 太刀 備前国長船住人真長  正安二年十(以下切)


二号刀、 太刀 守家


三号刀、 太刀 備前国長船住景光


四号刀、 太刀 備州長船住兼光  暦応二二年七月日


五号刀、 太刀 長光


 

成績上位者は


天位 : 松本啓之亮氏・郭(月生)
(カクショウセン)


地位 : 石田国寿氏


人位 : 大平将広氏


女性枠の成績上位者は


天位 : 唐木洋美氏


地位 : 岡澤ひとみ氏


人位 : 仁木とも子氏


次回の東京都支部鑑賞会は、令和4年(2022416日(土)を予定しております。


     
 刀剣鑑賞の風景 刀装具 『安土桃山時代の鐔工について』
星野 秀一 講師
 刀剣 『長曾祢虎徹興里とその周辺』一本入札鑑定解説
岩田 隆 講師

 

 
 新年鑑定会受賞者表彰
天位 松本 啓之亮 氏
 新年鑑定会受賞者表彰
天位 郭(月生)川 氏
 新年鑑定会受賞者表彰
地位 石田 国寿 氏


◆2021
年度 第1回鑑賞研究会

2021102日(土)

於:東京美術倶楽部

刀剣一本入札鑑定

刀剣『堀川国広』 岩田 隆 講師

刀装具『安土桃山時代の鐔工について』  葉山 修陽 講師


10月定例観賞会報告      東京都支部 冥賀亮典

令和3102日、東京美術倶楽部において
東京都支部10月鑑賞研究会が開催されました。
コロナ禍のなかではありますが緊急事態宣言も解除され、
昨年の正月以来となる1年9ヶ月ぶりに開催され66名の方が出席されました。

刀剣のテーマは「堀川国広」として、特別重要刀剣2振を含む国広16振をはじめ、

一門の実忠2振、広真1振、正弘1振、国安1振、国路1振、国儔1振の計23振が陳列されました。
堀川国広は日向国(宮崎県)の出自で、以前は諸国を流浪したといった説もありましたが、
現在の研究では、下野国(栃木県)の足利学校が庠主(校長)が日向国の出自で国広と同郷であったので
下野国へ招聘されたことや、その途中に美濃国を訪れた。
国広の作風は、天正打は相州伝と美濃伝の折衷的な尖り刃の目立つものとなり、刃文の頭は締まり谷に沸がつくものとなる。
天正打は相州伝を主として、志津・正宗・貞宗らなどの写しがあること、大黒天の彫物は天正打に限られて必ず指裏にあることが掟で、特徴は頭巾の先が尖る、槌は顔の横に、俵もやや後ろ気味、彫りが深くなる。
国広は写し物が大変に上手で、志津写しは浅いのたれ、帽子、彫物をよく再現している、他に包丁正宗写しの短刀、
江義弘写しについても特徴をよくとられ再現する技倆も優れているとのことでした。

刀装具のテーマは「安土桃山時代の鐔工について」として、重要美術品2点を含む金家が4点、信家を12点をはじめとする名品が
並びました。葉山修陽支部長から作品それぞれに詳細な解説をしていただきました。
安土・桃山時代とは、織田信長が足利義昭を追放し室町幕府が滅亡した天正元年(1573)から
徳川家康が江戸幕府を開いた慶長8年(1603)までの約30年をさします。
その時代には埋忠明寿をはじめ、今回に陳列された金家・信家らの鐔工が活躍しました。
刀装具は歴史の史実とともに、実際に拵として刀剣に装着されることにより大きさなどが変化しました。
金家の銘振りには城州銘や伏見銘があることや、作風は厚さは薄い造り込みに大振りとなり、
背景には雄大に拡がる空気感が感じられる。
信家の銘振りには放れ銘と太字銘があり、現在の研究では信家は福島政則に従って芸州へ移住した芸州銘があることより
放れ銘が古く、太字銘が若い、ほかに三信家銘がある。作風は力強く質実剛健となることや亀甲文様、今村長賀翁旧蔵のものについてなど詳細な解説をいただきました。

恒例の刀剣一本入札鑑定は岩田隆講師より詳細な解説がありました。
鑑定刀は以下の通りです。

一号刀、 太刀 古備前吉包
二号刀、 刀 長曽弥興正
三号刀、 脇指 越前康継(2代)
四号刀、 刀 和泉守兼定(之定)
五号刀、 刀 (金象嵌銘)一文字吉房(本阿弥光忠)

成績上位者は
天位 瀬下友里子氏・冥賀亮典氏
地位 梅野勉氏
人位 緒方嘉隆氏

次回は、令和4年(2022122日(土)を予定しております。
テーマは来年の干支である「寅」にちなみ「長曽弥虎徹興里」となっております。


     
 新支部長ご挨拶 
葉山 修陽 会長
 刀剣鑑賞の風景  刀装具 『安土桃山時代の鐔工について』
葉山 修陽 講師
     
 刀剣 『堀川国広』・一本入札鑑定解説
岩田 隆 講師
 2019年度 新年鑑定会受賞者表彰
人位 奈良原 和夫 氏
 2019年度 新年鑑定会受賞者表彰
人位 会田 攻 氏






◆2019年度 第4回鑑賞研究会
2020年1月18日(土)
於:東京美術倶楽部
刀剣『古備前・古一文字』 岩田 隆 講師
刀装具『後藤家上三代』 葉山 修陽 講師
刀剣一本入札鑑定

 

東京都支部・新年鑑賞研究会について  服部 一隆

 

東京都支部の新年鑑賞会は、118日、東京美術倶楽部にて開催されました。

みぞれも混じり底冷えする日となりましたが60名を越す多数の方々にご参加いただきました。

 

当日のテーマは

鑑賞刀「古備前・古一文字」

刀装具「後藤家上三代」

一本入札鑑定、となりました。

 

まず刀装具について葉山修陽講師により解説を頂きました。

会員の方々のご協力の下、祐乗 宗乗、乗真の名品が数多く並ぶ中

それぞれの比較、三所の重要性、芋継の技法が既にあった事や

丑の雌雄判別の細かな造形に関しては笑いも交えつつ、様々な角度からご説明頂きました。

 

刀剣につきましては岩田隆先生を講師にお招きし、一本入札鑑定刀の解説がなされました。

 

鑑定刀は、以下の5振りでした。

1号刀、太刀 「来国行」

2号刀、太刀 「尻懸則長」

3号刀、刀、「備前長船元重」

4号刀、太刀、「安綱」

5号刀、太刀、「包永」

 

いずれも素晴らしい古名刀でしたがテーマである古備前がよぎり苦戦される方も多かったようでした。

解説においては古備前との違いや逆に共通する部分、4号刀の一見近い古伯耆との差異する点や

5号刀との肌や地景有無といった細かくお話をいただきました。

 

成績上位者は以下5氏でした。

天位、二階堂克弥氏

地位、会田功氏 奈良原和夫氏

人位、川本恭平氏

 

続いて鑑賞刀「古備前・古一文字」の解説に移り、こちらも素晴らしい名刀18振の刀が並び

一振り一振りに細かな解説を戴きました。

古雅な物や精美な地鉄の物はもちろん焼きの高い丁字で一見福岡一文字に見紛うものや

匂い口締まり鎌倉末期の長船を思わせるような物等、様々な出来、珍しい銘の数々に圧倒されました。

古備前の奥の深さと後に続く備前刀の隆盛の基盤の強さを感じました。

 

鑑賞会終了後には新年懇親会が行われ終始和やかに親睦を深められた後散会となりました。

ご協力戴きました皆様には重ねてお礼申し上げます。

次回の鑑賞会は425()となります。









































◆2019年度 第3回鑑賞研究会◆
2019年9月28日(土)
於:東京美術倶楽部

刀剣『刀剣研磨について』 藤代 興里 講師

刀装具『柄巻について』  飯山 嘉昌 講師

刀剣一本入札鑑定

 

第三回 定例鑑賞会報告    荻野光章

東京都支部9月の鑑賞研究会は、28日東京美術倶楽部にて開催されました。
何時も通り、刀剣の一本入札の他、

刀剣は「刀剣研磨について」刀装具は「柄巻について」の特集にて行われました。

柄巻については、飯山講師により実物見本を前に、

作業工程にそって柄巻が出来上がる迄の行程を解説していただきました。

柄下地より柄形(ツカナリ)(三種)、に始まり鍔・切羽を装着しバランスをとり、

目釘穴を設定し、その後鮫着せ(鮫着せ5法)、そして柄巻へと、柄糸の種類、

柄糸の巻き方の種類などを、見本を見ながら説明いただきした。

これらは、拵え等により細かく使い分けられ、

代表的なものは肥後拵え、天正拵え、尾張拵え、殿中指し、

などが挙げられるとの解説でした。

亦、白鞘の目貫と拵えの目貫違い、竹の固い部分の方向の使い分けのお話は

大変勉強になりました。


刀剣研磨については藤代講師により刃取りと差込みの研ぎについて、
こちらも研ぎの見本を前に解説していただきました。

近代刀剣研磨の刃取りは本阿弥平十郎によるものが現代研磨の原形となっている、

講師が調べたところでは刃取り研ぎの期限は安政3年頃から始まった様である事、

差込研ぎは江戸中期頃からと推測されるとのことでした。

古い時代の研ぎはほとんど残っておらず、

古いものが出てきても研ぐ直されることが多々あり、

藤代講師が実見されたものでは、直刀には名倉の研ぎ目が残った由、

また仏像の体内より発見された短刀(長光頃のもの)に

内曇りの研ぎ目が残っていたそうです。

研磨という性質上、古い時代の研磨の状態で残っているものは非常に少ないことが

残念であると、普段知る事の出来ない貴重なお話をうかがいました。

 
一本入札は、

1号刀、太刀「豊後国行平」

2号刀、短刀「國広」

3号刀、太刀「古備前成高」

4号刀、太刀「古青江助次」

5号刀、刀「南紀重国」

以上の難物揃いでした。

成績上位者は

天位 55点 
堀込晋
緒方嘉隆

地位 40点 
池永順一

人位 35点 
荻野光章
勝田茂
渕江錦治
松本啓之亮
(以上敬称略)

次回の鑑賞会は、2020年1月18日(土)となります。


   
鑑定刀  古い研磨刀  鑑賞会内容
     
 刀装具 『柄巻について』 
飯山嘉昌講師
 刀剣 『刀剣研磨について』 
 藤代興里講師・川島貴敏講師
 一本入札鑑定 解説
岩田隆講師




◆2019年度 第2回鑑賞研究会◆

2019年7月27日(土)
於:東京美術倶楽部

刀剣『相州物について』 紙谷 治宏 講師
刀装具『東龍斎清壽と東龍斎清壽一門』  池田 長正 講師
刀剣一本入札鑑定

第二回定例鑑賞会報告         東京都支部 瀬下友里子

 
令和元年7月27日、東京美術倶楽部に於いて東京都支部定例鑑賞会が行われました。

当日は蒸し暑い中、およそ90名近くの方が出席されました。
 今回の刀装具は「東龍斎清寿とその一門」がテーマで、解説を池田長正講師よりいただき、

見どころや特徴などをわかり易く、また大変興味深いお話をして頂きました。

 清寿の代表的な作品である「雀海中蛤図」鐔や三所物・小柄等の見事な作品が出陳され

清寿門下の逸材の鐔など清寿と一門の素晴らしい名品が18点も並び、

非常に見応えのあるものとなりました。



 鑑賞刀は「相州物」がテーマで、相州伝の作品が18口も並び、大変迫力のあるものとなりました。

相州伝の事実上の祖と伝える新藤五国光の作を初めとして、門下の行光・正宗・則重

南北朝期に活躍した秋広や長谷部国信。
さらには室町期の相州広正・綱広、小田原相州の康春な
ども出品されました。



 紙谷治宏講師より解説をいただき、各時代の相州伝の作域やその変遷がよく理解
れ、
勉強になる鑑賞会となりました。



鑑定刀は、一本入札で行われ下記の5口の作品が出題されました。

解説は引き続き、紙谷治宏講師にお願いし、各鑑定刀の特色を示され、大変参考になりました。

一号刀 兼定(之定)
二号刀 相州住綱広(三代)
三号刀 信国
四号刀 長谷部国信
五号刀 秦長義


 成績上位者は

天位 冥賀亮典

地位 中村和人

人位 棚橋和明、中村圭佑、奈良原和夫

(以上 敬称略)


 解説後も皆様最後まで熱心にご覧になられておりましたが、終了時刻となり午後4時に散会となりました。
今回も、多くの方が参加され、大変活気のある鑑賞会となりました。

次回は、9月28日、東京美術倶楽部にて開催いたします。

 



   
鑑定刀  鑑賞刀(刀剣一本入札鑑定)
   
刀剣 『相州物について』
紙谷治宏講師
刀装具 『東龍斎清壽と東龍斎清壽一門』
池田長正講師



◆2019年度 第一回鑑賞研究会◆

2019年3月23日(土)
東京美術倶楽部 

◆内容◆ 
刀剣 「京のかたな展 出品刀を中心として」 冥賀 吉也 講師
刀装具 「後藤一乗とその一門」 松永 廣吉 講師 
刀剣入札鑑定 冥賀 吉也 講師

3月定例観賞会報告  東京都支部 冥賀亮典


平成31年3月23日、東京美術倶楽部において東京都支部3月鑑賞研究会が開催されました。

桜の蕾もほころびはじめた当日の天候は薄曇りながら約70名の方が出席されました。

刀剣は「京のかたな展 出品刀を中心として」について冥賀吉也講師より解説がありました。

「京のかたな」展の図録には、個々の刀剣についての解説のみではなく、後鳥羽天皇が
三種の神器のうち剣を入手できずに即位に臨んだので、御番鍛冶に刀を打たせたなどといった
歴史的な背景も詳細に記されているのでよく読んでいただきたいとのことでした。

出品刀は昨秋、京都国立博物館において開催された特別展「京のかたな匠のわざと雅のこころ」に
実際に出品された名刀の数々を今度は実際に手に取って鑑賞するという試みでした。

#16 太刀 国永(五条)

#54 小太刀 吉光

#124 短刀 国広(包丁正宗写)

#129 刀 肥前国忠吉 (重要美術品)

#132 刀 日州実忠 永禄九年紀

#146 刀 丹波守吉道

#150 刀 用恵国包 (重要美術品)

#157 刀 和泉守国貞 (重要美術品)

(#は京のかたな展における作品番号)

上記の重要美術品3振を含む出品刀8振をはじめとして、ほかに京物の古刀では
三条物、綾小路末行、藤四郎吉光、来国行が3振、二字国俊、来国俊が2振、了戒、
信国、長谷部国平、新刀では堀川国広が4振の24振が並びました。

特に、出品刀のなかでも古刀の五条国永の太刀と、藤四郎吉光の小太刀の2振は
国の指定品である重要文化財クラスかそれ以上の
なかなか手に取って鑑賞することができない名刀ということもあり、
終了時刻の16時を過ぎてもそれぞれに10名を超える方が列を作られており、
改めて古名刀の魅力を強く感じた次第です。

刀装具のテーマは「後藤一乗とその一門」として、後藤一乗をはじめとして
門人ら船田一琴、和田一真、荒木東明、今井永武、橋本一至、中川一匠、福井一寿らの名品が
30点ほど並びました。松永廣吉講師から作品それぞれに詳細な解説をしていただきました。

後藤一乗は作品のレベルが高く、門人も数多くいる。なかには殿中差しの金具に
用いる赤銅など黒いものが多く、後藤本家の作品に忠実に作られている。

良い作品は品格があり、名品が持つ独特のオーラを自ら感じて掴み取って欲しいとのことでした。


恒例の刀剣一本入札鑑定は冥賀吉也講師より詳細な解説がありました。

鑑定刀は以下の通りです。

一号刀、 太刀 太刀(千手院)

二号刀、 刀 備前長船治衛門尉清光

三号刀、 脇指 出羽大掾国路

四号刀、 刀 法城寺吉次

五号刀、 刀 固山宗次

成績上位者は

天位 松本啓之亮氏

地位 渕江錦治氏

人位 高橋孝氏
 


     



◆平成三十年度 第四回鑑賞研究会◆
平成31年1月26日(土)
東京美術倶楽部 
◆内容◆ 
「わが愛刀」 (人気投票)
「京都金工(後藤一乗は除く)」 園 平治 講師 ・ 葉山 修陽 講師 
刀剣入札鑑定 冥賀 吉也 講師


 第四回定例鑑賞会報告         東京都支部 坂田龍一

平成31126日、東京美術倶楽部に於いて東京都支部新年鑑賞研究会が行われました。


当日は冬らしく身に染みる寒さが襲う中、およそ80人近くの方々が出席されました。

新年最初の鑑賞刀のテーマは「わが愛刀」。これは会員の方々が自身の愛刀を持ち寄り鑑賞し、その中から人気投票を行うという珍しい試みの鑑賞会となりました。
展示した刀は全部で十六振り。
その中で会員を代表いたしまして二階堂氏と今泉氏に愛刀への想いを語っていただきました。

二階堂氏は古青江助次、豊後行平、来国行を持ち寄って下さり、
古青江助次に関してはある刀剣店で一目ぼれしてから30年の月日が経ったときに
また出会って今度こそはと思い手に入れられたという経緯を語っていただきました。

今泉氏は人間国宝の隅谷正峯の大包平写しを持ち寄ってくださり、長い年月をかけていく振りも
吟味しながらようやく作っていただいた経緯と強い思いを語っていただきました。


人気投票の結果は

1?(古備前)正恒、(古青江)正恒

3?守家

4?来国行

となりました。陳列された刀はどれも見事で上古刀から新々刀、現代刀まで多岐に渡ったため、
すべての刀に得票があり非常に見応えがあり盛り上がった鑑賞会となりました。


刀装具のテーマは「京都金工」となりまして、
埋忠明寿から一宮長常、岡本尚茂、大月光興、川原林秀国、松尾月山に至るまで
京の代表的な金工師がズラリと並びました。
講師は園平治氏と葉山修陽氏で、埋忠明寿の山銅地に赤銅象嵌された古色溢れる鐔をはじめ、京金工師たちの源流から作域の変遷、相関図に至るまでを解説していただき
京の金工師たちのこだわりやプライドまでが見え隠れするような
非常に含蓄のある解説をしていただきました。
陳列された刀装具は遠目で見ても惹きつけられるような見事なものばかりが並べられており、
見て感じとることの大切さがよく実感できる素晴らしい鑑賞会となりました。


一本入札の鑑定刀は六振りで冥賀吉也講師に解説をしていただきました。

鑑定刀は以下の通り。

一号刀 吉光

二号刀 (古青江)助次

三号刀 彦兵衛尉祐定

四号刀 細川正義

五号刀 法城寺吉次

六号刀 長曽祢興正

 

成績上位者は

天位 井上聡

地位 市川省三

人位 中村和人

次点 石田國寿

女性枠の成績上位者

天位 唐木洋美

地位 渡辺奈央子

人位 帆足真那

(以上 敬称略)

 

各人には園支部長より記念品が授与されました。

鑑賞会終了後は毎年恒例の新年年明けの懇親会が催され、
こちらの方にも多くの方が参加されました。



   
   
   





◆平成三十年度 第三回鑑賞研究会◆
平成30年9月29日(土)
東京美術倶楽部 
◆内容◆ 
「昭和天皇即位の装束を拝見・鑑賞」 有職文化研究所 仙石宗久 講師
 来派の名工 鑑賞 
京都国立博物館 特別展 「京のかたな」にちなんで


◆平成三十年度 第二回鑑賞研究会◆
平成30年7月28日(土)
東京美術倶楽部 
◆内容◆ 
刀剣   「鎌倉時代から幕末迄の小太刀と脇差について」 岩田 隆 講師
刀装具 「信家について」 池田 長正 講師
一本入札鑑定 
参考刀鑑賞 支部役員出



  
第二回定例観賞会報告           東京都支部 坂田龍一

 
 
7月28日土曜日、東京美術倶楽部にて東京都支部定例観賞会が行われました。

当日は台風の予報にも関わらず、当支部会員の方だけでなく、
他支部の会員の方も参加していただき、活気のある会となりました。


小道具は、信家の鐔が12点展示されました。

素晴らしい地鉄の風合や独特の雰囲気をもった名品が並び、
滅多にない機会に参加者の方も食い入るように鑑賞されていました。


小道具の解説は、池田長正先生からして頂きました。

信家の見どころや特徴など、大変興味深い解説をしていただきました。

刀剣の解説は、岩田隆先生からして頂きました。

観賞刀は「小太刀と脇指について」をテーマに、
貞宗、二字国俊、畠田守家、之定、相州綱広などの名品が21振並びました。

時代や刀工の特徴を細かく解説していただき、大変勉強になりました。


鑑定刀は

一号刀  薩州住正清

     享保四年 中春日

二号刀  大慶直胤

     於東都神田作之

三号刀  国光(新藤五)

四号刀  包俊(末手掻)

五号刀  主馬首一平安代

天位 会田攻

地位 池永順一、緒方嘉隆、花枝昇一、葉山修陽、堀込晋、冥賀亮典

人位 多数の為省略

台風による天候悪化に配慮し午後三時三十分に終了となりましたが、
多くの名品が並び、大変活気のある会でした。


次回は929日、東京美術倶楽部にて開催いたします。



刀装具: 信家について
池田 長正 講師
刀剣: 小太刀と脇差について
岩田 隆 講師




◆平成三十年度 第一回鑑賞研究会◆
平成30年4月21日(土)
東京美術倶楽部 
◆内容◆ 
刀剣   「短刀」 岩田 隆 講師
刀装具 「後藤家 初代~十代」 葉山 修陽 講師
一本入札鑑定 
参考刀鑑賞 支部役員出品



   第一回定例観賞会報告           東京都支部 藤野 工


4月21日土曜日、東京美術倶楽部にて東京都支部定例観賞会を行いました。

当日は晴天に恵まれ、58名の会員の方々が参加されました。

小道具は、後藤家初代から十代の目貫、小柄、笄が一堂に会し、
それらと共に貴重な折り紙も展示され圧巻でした。

小道具の解説は、葉山修陽先生からして頂きました。
打刀が登場してからの後藤家250年の解説、
折り紙と裏彫りのことなども解説していただきました。

刀剣の解説は、岩田隆先生からして頂きました。
観賞刀は35振の短刀が並び、粟田口国吉の健全な短刀をはじめ、秦長義のような
珍しい短刀など、五か伝、古刀期から新々刀期までの短刀作者の名品が一堂に並び、
短刀を勉強をする上でこの上ない機会でした。
作柄の違い、姿の違いなど一目瞭然。

鑑定刀は1号長光、2号兼房、3号一平安代、4号虎徹、5号南紀重国。
天位 藤野工、
地位 中村和人
人位 藤代龍哉、坂田龍一、宮野貞司、高橋孝、渕江錦治(敬称略)


次回は7月28日、東京美術倶楽部にて開催いたします。


刀装具
葉山 修陽 講師
刀装具
   
 短刀  刀剣: 短刀
岩田 隆 講師

◆平成二十九年度 第四回鑑賞研究会◆
平成30年1月27日(土)
東京美術倶楽部 
◆内容◆ 
刀剣   「長船光忠とその周辺」 前田 日明 講師 ・ 冥賀 吉也 講師
刀装具 「古美濃と古金工の華」 園 平治 講師
一本入札鑑定 
参考刀鑑賞 支部役員出品



 正月定例観賞会報告           東京都支部 冥賀亮典



平成30年1月27日、東京美術倶楽部において東京都支部新年鑑賞研究会が開催されました。
数日前には都心でも4年振りとなる大雪となり寒さが厳しい日が続いておりましたが、
当日は雲ひとつ無い晴天に恵まれて80名を超える方々が出席されました。


刀剣は「長船光忠とその周辺」について冥賀吉也講師より解説がありました。
出品刀は、長船派の祖である光忠の刀が7振ならび、重要美術品の2振を含む、
在銘が3振、朱銘が1振、無銘が3振でありました。その他には光忠の弟の景秀、
子の長光・真長、一文字派の吉房、則房らや現代刀匠の宮入法廣師の光忠写しなどがありました。

光忠の作風は古備前風のもの、生駒光忠のように華やかなもの、長光の初期作に繋がる
やや互の目が目立つものなど3種類がある。
見所として地鉄が精美なこと、刃文は華やかなものは、刃中に金筋・砂流しの働きが豊富で、
焼きの高弟が少なく、帽子は乱れ込み・先尖り・棒樋が多くやや広めであるなどの説明がありました。


特別講師として前田日明講師から、ご自身と刀剣との出会いや、備前刀の最高峰である光忠との
出会いや思い、そして光忠を通して感じられる織田信長ら戦国武将像などについてお話しがありました。



刀装具のテーマは「古美濃・古金工」として、古美濃が25点、古金工が17点もの名品が並びました。
園平治支部長から作品それぞれに詳細な解説をしていただきました。
なかには南北朝時代まで時代が遡るものもあり、
古い時代の作品の持つ味わい深さや趣を感じて欲しいとのことでした。


恒例の刀剣一本入札鑑定は平田泰雄講師より詳細な解説がありました。
鑑定刀は以下の通りです。

一号刀、 太刀 国縄(古備前)
二号刀、 短刀 繁慶
三号刀、 刀 (金粉銘)相州行光
四号刀、 短刀 兼先
五号刀、 短刀 金剛兵衛盛高(現代)

成績上位者は
天位 ポール・マーティン氏
地位 松本啓之亮氏
人位 堀込晋氏

女性枠の成績上位者は
天位 前田真由美氏
地位 大平岳子氏
人位 唐木洋美氏、邵氏

各氏に園支部長より賞品が授与されました。

観賞会終了後、新年の懇親会が催されこちらにも多くの方にご参加いただきました。
園部長の挨拶に始まり、終始和やかな雰囲気の中で、皆様歓談に興じられていらっしゃいました。


なお、入札鑑定において女性枠の天位を獲得された前田真由美さんから
一文をいただきましたのでご紹介させていただきます。

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刀に興味を持ったきっかけは、もともと歴史や武将などにも全く詳しくなく、
現代美術の学生時代を経て、10年ほど前に油画などや骨董などを扱う店で働いていた時に、
全く知識も思い入れもない状態で社長にたまたま刀をもたせてもらうことがあり、
その重みとあまりの美しさ、キレイさ、その鋭さの少しの怖さに驚き、スゴイと興奮したことが始まりです。


そのときに、見せてくれた方が、刀はね、理詰めで見ないで楽しんで見るといいよ、
わかりたかったらとにかくたくさんの刀を手にとって見ると良いよ、というようなことを言われ、
そのことが深く印象に残りました。またその時、見せてくださった方が本当に刀を大好き!
というキラキラした目で説明されていたのも印象的でした。


その刀の魅力や興奮や愛好家の輝きを観て、なんだこれは!と驚き知りたくなりました。

刀剣女子の皆様が元気に鑑賞会に参加するまではなんとなく気が引けて
ご参加していませんでしたがお友達になった女子たちの楽しそうなお話を聞いて
今回東京支部の鑑賞会には初めて参加しました。


それまではできるだけ機会を見つけては現代刀や、大刀剣市を含むいろいろな場
所で御刀を見せていただいたり、博物館にいったりマイペースにでも、なるべく
たくさん色々な刀を見る機会を増やしたりずっと勉強したりしています。

ただただ知識無しで見せて頂いていた期間が長くて座学や知識を学ぶ時間はあまり取れず、
最近やっとちょっと刀剣の本を紐解きはじめまして、知識面に関してはここ1・2年で
勉強始めた女子を始めとした皆様の熱心さに、いつも圧倒され足元にも及ばないと思います。


そのため刀に関しては感覚だけでみていて古いか新しいかぐらいしかわからないのですが、
勉強すればするほど色々な景色と背景が刀の向こう側に見えてきて楽しいので、
これからは掟の勉強や、刀工の仕事、作風もいろいろ知って勉強熱心な刀剣女子の皆様にも
いろいろと教わりながらこれからも多彩な刀をいろいろな方向から楽しめれば良いなと思います。


そして遠い将来「女性枠」でなくても天位をいただけるような、
目と感覚と知性を得られると楽しいなとおもいます。


前田真由美


   
特別講師
前田日明講師
刀剣: 長船光忠とその周辺
冥賀吉也講師
 刀剣一本入札鑑定
平田泰雄講師
  
 刀装具: 古美濃と古金工の華
園平治支部長



◆平成二十九年度 第三回鑑賞研究会◆
平成29年9月30日(土)
東京美術倶楽部 
◆内容◆ 
刀剣   「青江」    岩田 隆  講師
刀装具 「大月一門」 池田 長正 講師
一本入札鑑定 
参考刀鑑賞 支部役員出品


東京都支部九月例会報告         藤野工

朝夕とずいぶんと涼しくなった9月30日土曜日、東京美術?楽部にて定例研究鑑賞会が行われました。
鑑賞刀は”青江”を岩田隆講師に、刀装具は”大月一門”を池田長正講師に解説していただきました。
今回の鑑賞刀は青江の刀を20振り揃え、古青江から南北朝時代の青江を姿・地・刃と
各年代ごとに特徴や見どころを解説していただきました。
どの青江の刀も状態も良く地刃共に健全で、一度に各年代の青江の刀の
特徴・見どころを見比べることが出来るとても良い機会でした。

刀装具は大月一門ということで光興を中心に光林、光芳の鍔・小柄・縁頭を
幅広いジャンルの図柄で取りそろえ、図柄や片切り彫のことについて解説していただきました。
光興は下絵を岸駒に習い、長澤芦雪の影響を受けただけあって画力の良さが納得できます。

鑑定刀は、1号刀から5号刀まで全て備前三郎国宗であり、驚きを隠せない状況でした。
派手な丁子刃で豪壮な姿の太刀から、直刃調で優美な姿をした太刀など
5振りの国宗を一気に鑑ることは今後あるかどうかわからないくらいの出来事でした。
入札は、一文字、長光、雲次、青江と札が飛び散り、
一振りの国宗を当てた20点の方々が最高点でした。

天位は池田長正、坂田龍一、葉山修陽、花枝昇一、松本啓之亮(敬称略)です。

次回は来年1月27日13時から、東京美術?楽部で予定しています。




◆平成二十九年度 第二回鑑賞研究会◆
平成29年7月29日(土)
東京美術倶楽部 

◆内容◆ 
刀剣   「刀の銘の真偽と優劣」 紙谷 治宏 講師
刀装具 「幕末・明治の江戸金工」 池田 長正 講師
一本入札鑑定 
参考刀鑑賞 支部役員出品

 
  
刀装具 『幕末・明治の江戸金工』
池田 長正 講師


 
刀剣 『刀の銘の真偽と優劣』
紙谷 治宏 講師




東京都支部七月鑑賞研究会     坂田龍一


 2017年7月29日(土)、気温30度を超える暑中、
東京美術倶楽部にて約70名の会員が集い、鑑賞研究会が開催されました。
初めての会場ですがスペースも十分あり、ゆっくりと鑑賞することが出来ました。

解説の前に園平治支部長よりご挨拶と鑑賞マナーについてのお話があり、
参加者の方々はそれを踏まえ、講師の方々の解説を聞かれておられました。

 刀装具は「幕末・明治の江戸金工」をテーマとし、夏雄や萩谷勝平、海野勝珉等の作品が
20点以上展示され、滅多に見ることの出来ない名品ぞろいで壮観でした。
池田長正講師による丁寧な解説を参加者は真剣に聞かれていました。

 刀剣は「刀の銘の真偽と優劣」をテーマに相州行光と薩州正清の写し、
注文打ち祐定と数打・再刃の祐定、助直と直胤の写し、
正恒(備中妹尾)、村正の正真と偽銘等が並べられ、
紙谷治宏講師によりその差や見分け方が解説されました。
通常とは違う視点からの鑑賞となり、今回のように並べて比較できることは貴重なので、
大変勉強になりました。

鑑定は一本入札で行われ以下の五振が並べられました。

鑑定刀
一号刀 太刀  銘「備州長船家助 正長元年十二月日」
二号刀 脇差  銘「肥前国住藤原忠廣 寛永十六年八月吉日」
三号刀 脇差  銘「相州住廣次」
四号刀 小脇差 銘「長谷部国信」
号刀 刀   銘「濃州関住兼秋作」

今回は特徴を捉えることが難しく、皆様かなり悩まれているご様子でした。
そのような中、次の方々が上位の成績を修められました。
 
天位 掘込晋氏
地位 邵氏
人位 小池利光氏 萩野光章氏 二階堂克弥氏
 
大変お暑い中、多くの方に参加していただき、活気のある有意義な鑑賞研究会になりました。

 次回は9月30日(土)13時より、東京美術倶楽部にて実施されます。
今回同様、多数の皆様に参加していただけますよう期待いたしております。



◆平成二十九年度 第一回鑑賞研究会◆
平成29年6月24日(土)
刀剣博物館 4階講堂

◆内容◆ 
刀剣  「現代刀について」 今泉 濬 講師
刀装具  「肥後八代甚吾について」 松永 廣吉 講師
一本入札鑑定 
参考刀鑑賞 支部役員出品


  

刀装具 『肥後八代甚五について』
松永 廣吉 講師
 
鑑賞刀 『現代刀 ~用の美~』
今泉 講師


鑑定刀解説
藤代 興里 講師
 




東京都支部六月定例鑑賞会  今泉 濬
 
六月二十四日(土)梅雨時とはいえ晴天で30℃を超す中、刀剣博物館4階講堂が
使用出来る最後とあって、五十名余を超す参加者がありました。
 
 今回の鑑賞刀のテーマは「現代刀」ということで重要無形文化財に指定された、
高橋貞次、宮入行平、月山貞一、隅谷正峯、天田昭次、大隅俊平刀匠の代表作や、
八鍬靖武、今泉俊光、宗勉、濃州兼圀、吉原義人、月山貞利、広木弘邦、宮入法廣、
杉田善昭、大野義光、松田次泰、宗昌親、吉原義一、久保善博刀匠の
これまた代表作が、4階講堂スペース一面に展示され圧巻でした。

講師の今泉よりそれぞれの刀匠の師弟関係の説明がありました。
また原稿用紙二枚で「現代刀の私見」について「用の美」について参加者にお渡ししました。

 
 刀装具鑑賞のテーマは「甚五について」。松永前支部長のコレクションを提供
して頂きました。初代甚五を二枚と無銘だが初代の佳作と思われるもの一枚と八
代(やつしろ)と製作地入りの在銘甚五6枚、無銘の一枚は笹野大行先生遺愛の一枚で
伝又八他に熊谷義次、西垣勘平の作品を松永講師が甚五の見方について
丁寧な解説がありました。参加者はその解説に皆目に鱗でした。

 
鑑定刀は下記五振り。
1.太刀:一備州吉岡住助義 貞和五年
2.短刀:盛光     
3.脇指:修理亮盛光 応永二十年 
4.刀: 國廣
5.刀: 七十翁直胤 嘉永元年
 
天位:梅野勉氏
地位:花枝昇一氏 太田士朗氏 堀込晋氏
人位:唐木洋美氏 小林由美氏

鑑定刀の解説は藤代興里講師にお願いをし、研ぎ師の立場より刀の姿で時代を捉える
解説にはうならせるものがありました。


次回の鑑賞研究会は、7月29日(土)東京美術倶楽部にて開催予定です。
多数のご来場をお待ちしております。

 
なお、鑑定刀で人位を獲得された女性お二人から一文を頂きましたので、御紹介いたします。

この度は入札鑑定で地位をいただきまして大変身に余る思いで恐縮しております。
順位をいただくとは夢にも思っておりませんでしたので驚きで頭が真っ白になっ
てしまいました。 二年ほど前から独学で学び始めて、美術館、博物館、鑑賞会
などに足を運んでおりました。本格的に入札鑑定を始めたのは半年ほど前からで
す。これから今まで以上に勉強をして刀を知ることができたらと思っております。
刀が本当に大好きで四六時中見ていたのいで、今回の鑑賞会は大変楽しく、学び
の多いものでした。参加させていただきまして本当にありがとうございました。

唐木洋美


入札鑑定を初めて経験したのは1年前です。それ以前は、刀に興味がありながら
もどうしてよいかわからず、専ら博物館巡りをしていましたが、途中、尊敬する
先生や一緒に勉強出来る仲間に出会えたことが全てのきっかけとなりました。 
まだまだ初心者でわからないことだらけですが、一つ一つ大切に学んでいこうと
思います。  

小林由美
                     



◆平成二十八年度 第五回鑑賞研究会◆
平成29年3月18日(土)
刀剣博物館 4階講堂

◆内容◆ 
刀剣  「短刀の魅力」 梅野 勉 講師 ・ 飯田 慶雄 講師
刀装具  「後藤家十一代~十七代」 葉山 修陽 講師
一本入札鑑定 藤代 興里 講師
参考刀鑑賞 支部役員出品




 
鑑賞刀 『短刀の魅力』
梅野 勉 講師



鑑賞刀 『短刀の魅力』

飯田 慶雄 講師

  
刀装具 『後藤家十一代~十七代』
葉山 修陽 講師




鑑定刀解説
藤代 興里 講師



東京都支部三月定例鑑賞会・懇親会報告   藤田 裕介
                     

 三月十八日(土)春の暖かさが感じられてきた三連休の初日、五十名近い参加者が刀剣博物館4階に集い
東京都支部の刀剣刀装具定例研究鑑賞会が行われました。

 今回の鑑賞刀のテーマは『短刀の魅力』。会場には名だたる名工の短刀が十三振り並びました。
鑑賞刀は吉光、来国俊、応永信国、保昌貞宗作、新藤五国光、行光(朱銘)、正宗(朱銘)、左、左安吉、
筑州住左(行弘)、長光、国泰、兼先と五ヶ伝の名工がズラリと並び非常に貴重な鑑賞会となりました。

講師は梅野勉氏と飯田慶雄氏のお二人にお願いし、
梅野講師は相州物へのこだわりと思いを、
飯田講師は筑州住左の現在に至るまでの変遷と研究の成果とを講義して下さり、
互いに独自の視点から想い想いの解説をしてくださることで、とても興味深く聴かせてもらいました。

 刀装具鑑賞の方のテーマは『後藤家十一代~十七代』ということで通乗から典乗までの
後藤家の御家彫りの作品に加え、時を同じくして活躍した名だたる町彫り金工師の名品もずらりと並びました。町彫り金工は奈良利寿、横谷宗珉といった町彫り金工の祖から加納夏雄、海野勝珉と
幕末明治の名工の作品までが並び、他にも柳川直政や津尋甫、大月光興、後藤一乗など
どれも非常に見ごたえのある名作が並び、参加者の方々は食い入るように見ていました。

講師は葉山修陽氏にお願いをし、後藤家の龍の見方やその時々の時代背景を追いながら変化する
町彫りの作品の説明を非常にわかりやすく丁寧に抗議して下さいました。

 鑑定刀は一本入札で刀三振り、短刀二振りが並び古刀から新刀、新々刀と各時代の刀が
順不同で並べられました。

一号刀   眠龍子寿実
二号刀   城州埋忠作
三号刀   備州長船盛光
四号刀   来国光
五号刀   長曽祢興里入道乕徹

全体的に難問かと予想されましたがそれでも一本入札ながらもなかなかの高得点が出ました。
成績優秀者は以下の通り。

天位  中村和人氏  高橋孝氏  葉山修陽氏
地位  渕江錦治氏
人位  堀込晋氏

鑑定刀の解説は藤代興里講師にお願いをし、一振り一振りとても丁寧に解説して下さりとても勉強になりました。特に四号刀の来国光の短刀はかなりの大振りなので全体的に信国の札が多かったのですが
来国光たる所以の講義と、二号刀の短刀の城州埋忠作の銘振りの研究課程の話はとても興味深く、
皆さん真剣な眼差しで講義を聞いておりました。

今回は鑑賞刀も刀装具も見事な作品が並び、勉強になるとともに間近で名品を見、
それを手に取ることのできる非常に贅沢な時間を過ごさせていただきました。

次回は六月二十四日、代々木の刀剣博物館では最後の定例研究鑑賞会となります。
都支部の皆様、また他支部の方もぜひ奮ってご参加下さい。




◆平成二十八年度 第四回鑑賞研究会◆
平成29年1月28日(土)
京王プラザホテル

◆内容◆ 
刀剣  「新春名刀鑑賞会」( 平田 泰雄 講師)
刀装具  「後藤一乗とその一門」(園 平治 講師)
一本入札鑑定 (冥加 吉也 講師)
参考刀鑑賞 支部役員出品


 

園 副支部長


平田 副支部長


梅野 理事

高橋 理事


吉野 理事
 
飯田 理事


坂田 龍一 氏
 
冥賀 理事
 
松永 支部長
 
柴原 協会専務理事
 




東京都支部一月定例鑑賞会・懇親会報告   坂田 龍一
                     

2017年1月28日(土)、スカイツリーもはっきりと見渡せる晴天の中、京王プラザホテル43階にて
多数の会員が集い、正月定例鑑賞会と懇親会が開催されました。


刀装具は「後藤一乗とその一門」をテーマとし、一乗の鐔・笄・目貫等を中心に
多数の名品が並び、園平治副支部長より後藤一乗の生い立ちから略歴、時系列を追いながらの
鑑賞品の説明があり、大変勉強になるお話を聞くことが出来ました。


刀剣は平田泰雄副支部長の声掛けにより愛刀家、若手刀剣商の方が持ち寄りで
古備前物、古長船物、山城物、末古刀、慶長新刀、新々刀とバラエティに富んだ
名刀十五振が並べられました。中でも、私が特に印象に残った物は吉光の短刀で、

地刃共に大変健全で素晴らしく、博物館でしか見られないような名品でした。

解説は平田副支部長を中心に梅野理事、高橋理事、吉野理事、飯田理事、坂田による分担で
行われました。それぞれの刀の見どころを聞くことで新たな発見があり、
大変勉強になる鑑賞会となりました。


鑑定は一本入札で行われ、以下の短刀、小脇指 五振が並べられました。

一号刀 尻懸住則長作  暦應三六月日六十九   
二号刀 包宗(末手掻)
三号刀 備州長船兼光  貞和二二年
四号刀 備中国住次吉  貞和年(以下不明 )
五号刀 出羽大掾国路

今回の鑑定刀もお正月にふさわしく難しいもので、特に二号刀は一人も得点を獲得できた方は
いらっしゃいませんでした。冥賀吉也講師の流暢で詳細な解説を聞くと皆様納得されたようで、
「たいへん勉強になった」との声が多数聞かれました。


天位 萩野光章氏 
地位 藤代龍哉氏 
人位 細田栄能介氏・会田功氏・棚橋和明氏

新年一回目に相応しい充実の内容の定例鑑賞会となりました。

引き続き、同じく京王プラザホテルにて懇親会が催され、松永廣吉理事長より新年のご挨拶があり、
協会の柴原勤専務理事により両国の新刀剣博物館の建設の進行状況の説明と刀剣会の発展に
協力していただきたいという旨のお願いがありました。
その後、園平治氏よる乾杯の音頭により会が催されました。和やかな雰囲気の中、
皆様歓談に興じられていらっしゃいました。齋藤恒氏による一本締めで散会となり、
大変有意義な懇親会となりました。


次回は三月十八日、刀剣博物館講堂で実施致します。多数のご来場を期待しております。



◆平成二十八年度 第二回鑑賞研究会◆
平成28年9月17日(土)
刀剣博物館

◆内容◆ 
刀剣  「鎌倉時代の在銘の太刀」( 紙谷 治宏 講師)
刀装具  「画題 <波>」(池田 長正 講師)
一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品




刀装具 『画題 波
池田 長正 講師



刀剣 『鎌倉時代の在銘の太刀』
紙谷 治宏 講師





東京都支部九月定例鑑賞会報告  服部 一隆

東京都支部の定例鑑賞会は九月十七日刀剣博物館階四階にて開催されました。
まだ夏の暑さも残る中でしたが六十数名の方々にお集まり頂きました。

刀装具については「画題 波」をテーマに池田長政講師にご解説頂きました。
鎌倉鐔、古金工、後藤、町彫といった波の扱われた名品二十九点が並べられ
比較点、見所を画題の説明等も交えつつご説明頂きました。
波も町彫においては年代によって様々に変化する中、後藤においては波の表現が
比較的一定している点など様々なお話をいただき、大変勉強になりました。

刀剣は鑑定刀、鑑賞刀共に紙谷治宏講師をお迎えしお話頂きました。

鑑賞刀は「鎌倉時代の在銘の太刀」をテーマとして備前備中を中心に太刀十三振
が並べられられました。
年紀の入った物も数振あり、鑑賞するだけでもとても貴重な機会を設けて頂きま
した。
そして紙谷講師に個々の刀の詳しい解説と共に各派の特徴等を大変詳しくご説明
頂き更に深く拝見することできました。

鑑定は一本入札で行われ以下の五振が並べられました。

鑑定刀
一号刀 短刀 銘「綱家作」
二号刀 短刀 銘「相模守政常入道」
三号刀  刀  銘「日州古屋住国廣 天正十四年六月日」
四号刀 短刀、銘「備州長船元重」
五号刀 短刀 銘「義助」

今回はかなり難解な物が多く皆様かなり悩まれているご様子で特に五号刀の義助
にはたいへん驚かされました。
そのような中、次の方々が上位の成績を修められました。

天位 掘込晋氏
地位 真木堂智氏 浅川泰行氏 猪狩有三氏 遠山光氏
人位 八木豊氏 藤代龍哉氏

解説後も皆様最後まで熱心にご覧になられておいででしたが、時間を迎え名残惜
しみつつ散会となりました

次回は新年一月二十八日(土)京王プラザホテルにて開催予定です。




◆平成二十八年度 第二回鑑賞研究会◆
平成28年7月16日(土)
刀剣博物館

◆内容◆ 
刀剣  「脇差の魅力」( 平田 泰雄 講師)
刀装具  「赤坂鐔初代~五代」(松永 廣吉 講師)
一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品




刀装具 『古笄肥後笄について
松永 廣吉 講師



刀剣 『脇差の魅力』
平田 泰雄 講師


 
一本入札鑑定解説

冥賀 吉也 講師


東京都支部七月定例鑑賞会報告 大平将広


平成28年7月16日、刀剣博物館4階に於いて東京都支部定例鑑賞会が開催されました。
梅雨時期にも関わらず水不足が嘆かれ、当日も蒸し暑い中50名近くの方が参加されました。

刀装具は赤坂鐔を中心に、古赤坂の尾張風が1点、京風が2点、初代忠正1点、2代忠正1点、
3代忠虎2点、4代忠時4点、5代忠時7点の計18点が並びました。

講師の松永廣吉氏は、各代の特徴や、三枚鍛えの厚さの違いによる時代判別等を解説され、
比較研究のまたとない機会となりました。



鑑賞刀は、南北朝期の文和から明治の年紀が入った各時代の脇差22振が揃い、
姿や刃紋の変遷が非常にわかりやすく、脇差を今一度勉強する貴重な時間となりました。

講師の平田泰雄氏から、脇差の時代的な流れについての解説があり、脇差は刀に比べ安くて、
また江戸時代には出来の良いものが多い為、初心者にはお勧め出来ると、
脇差の魅力について解説されました。



鑑定刀は一本入札で、
一号 脇差 長谷部国平 貞治三年二月日
二号 脇差 出羽大掾国路
三号 刀 肥前国忠吉
四号 刀 国広
五号 刀 粟田口近江守忠綱 元禄十四年八月吉日
の五振が並びました。

講師の冥賀吉也氏は、三号の忠吉については、
初代忠吉の初期作の極め所は、慶長新刀とみて鎬高く大和気質のある点、

五号の忠綱については、特に元禄頃と慶長頃の姿の違いを解説されました。

成績は次の通りでした。(敬称略)
天位 二階堂克弥 原科光治 宮野貞司
地位 椎名悦三
人位 荻野光章

次回の定例鑑賞会は平成28年9月17日、刀剣博物館4階にて行われます。奮ってご参加ください。



◆平成二十八年度 第一回鑑賞研究会◆
平成28年5月21日(土)
京王プラザホテル

◆内容◆ 
刀剣  「短刀の魅力」( 紙谷 冶宏 講師)
刀装具  「古笄肥後笄について」(高橋 歳夫 講師)
一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品



刀剣 『短刀の魅力』
紙谷 治宏 講師

刀装具 『古笄肥後笄について
髙橋 歳夫
講師




東京都支部五月定例研究鑑賞会      堀込 晋

平成成28年5月21日、京王プラザホテルにおいて
東京都支部五月定例研究鑑賞会が開催されました。
清々しい五月晴れの中多くの方が出席され、名品を心ゆくまで鑑賞されておりました。


 刀剣は「短刀の魅力」と題して紙谷治宏講師より解説がありました。
出品刀は鎌倉から明治までの短刀23振が並べられ、
各時代ごとの特徴・姿の変遷を学ぶことができました。
特に時代による重ねの落とし方の変化については、
今回の様に数多くの品を一度に手に取って確認しなければ
中々判らないため、非常に貴重な経験となりました。


 長光・粟田口国吉・来国俊をはじめとする素晴らしい古名刀は勿論、応永年紀の宝寿、
下原康重の傑作等、中々眼にすることの出来ない名品を鑑賞出来たのは嬉しい限りでした。


 刀装具は「古笄」と題し、古金工・古美濃・古後藤・祐乗・宗乗・乗真の名品及び拵3点が並べられ、
髙橋歳夫講師より古笄を鑑賞する上でのそれぞれ特徴や見分ける際のポイントをご解説頂きました。


 素晴らしい笄が一堂に会し眼福でしたが、特に古美濃の大名品の美しさ、
力強さは生涯忘れる事は無いと思います。



 一本入札鑑定につきましては、難しい刀が並び、入札に非常に苦戦致しました。
紙谷治宏講師による解説の際は鑑定刀の隣に押形が並べられ、
実物と押形を比較しながら理解を深めることができました。


1号刀は常にない激しい出来かつ傑作、2・3・5号刀は古青江、青江、妹尾各々の
鉄の様子の違いを感じることができるものでした。
4号刀は黒々と透けるように輝く鉄と抜群の匂口が心を打つ名刀でした。


一号刀 刀 宇多真國
二号刀 太刀 重次(古青江)
三号刀 刀 金象嵌銘 貞次 本阿(花押)
四号刀 太刀 大和国住藤原包久作
五号刀 太刀 正恒(妹尾)

成績は次の通りでした。

天位 堀込 晋 
地位 中村和人氏 花枝昇一氏 望月秀希氏 
人位 渡辺英男氏

 成績上位者には賞品として鑑定刀の詳細な解説と押形の記載された資料が
松永廣吉支部長より手渡されました。


 次回は、7月16日(土)刀剣博物館四階講堂にて開催予定です。 





◆平成二十七年度 第五回鑑賞研究会◆
平成28年3月19日(土)
刀剣博物館
◆内容◆ 
刀剣  「慶長新刀について」 岩田 隆 講師
刀装具  「肥後について」(園 平治 講師)
一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品




刀装具
園 平治 講師

刀剣
岩田 隆
講師



東京都支部三月定例鑑賞会      坂田龍一

平成28年3月19日、午前中は生憎の雨ながら午後には春の日差しが感じられ、
翌日には桜の開花宣言も発表された、三連休の初日に東京都支部三月定例鑑賞会が開催されました。
雨天にも関わらず多くの方が参加され、刀剣・小道具共に名品が揃い、各人が眼福を得られた会でした。

刀剣は「慶長新刀について」と題して多くの名刀が展示されました。
国広をはじめとし、日州實忠、阿波守在吉、国安、平安城弘幸、越後守国儔、出羽大掾国路、
和泉守国貞、河内守国助(初代)ら国広一門が続き、埋忠明寿、東山美平、播磨守輝廣、肥前国忠吉、
伊予掾宗次、伊賀守金道、丹波守吉道、越中守正俊、南紀重国、繁慶が並べられました。

ほとんどの刀が重要、特重、重美に指定された素晴らしい名刀が並び、
これだけの数の同時代の名刀を見比べられるまたとない機会となりました。
実際に参加されていた方の多くが「もっと鑑賞時間がほしかった」とめったにない機会に驚き、
名残惜しんでおられました。

刀装具は「肥後について」と題され、平田彦三、西垣勘四郎、林又七、初代志水甚五、
楽寿、知足亭天常、光隣、中根平八郎、三角などの名品が集められ、
その多くが肥後物には珍しく在銘品でした。
講師の園平治氏により解説が行われ、九割が無銘の肥後物の中で今回のような在銘品は珍しく、
このようなものを自身の鑑定の物差しとして覚えておくことが大事であるという言葉を頂きました。

今回の定例鑑賞会は刀装具に限らず、刀剣もこれからの鑑賞の中で自身の物差しとなるものばかりで、
参加者にとって、とても有意義な鑑賞会となったと思います。

入札鑑定では鑑賞刀の解説とともに岩田隆氏により行われ、
鑑定の決め手や見どころなどの細かい解説をしていただきました。

一号刀 脇指 備中国住次吉作
       延文三年十一月日

二号刀 刀  出羽大掾藤原国路

三号刀 刀  繁慶

四号刀 刀  備前国長船住景政
       暦応三庚辰二月日

五号刀 短刀 備州長船康光
       應永三十二年八月日

成績上位者(敬称略)は 天位 中村和人 地位 松本啓之亮 人位 花枝昇一

一号刀から三号刀は典型的な作域で多くの方が当たりや同然を取られていましたが、
四号刀と五号刀は細かい特徴を捉えなくてはならず、点数を得られた方は少なかったようです。
鑑賞刀を含め数多くの名品に触れることのできた有意義な定例鑑賞会でした。

次回は、5月21日(土)新宿京王プラザで開催予定です。 



◆平成二十七年度 第四回鑑賞研究会◆
平成28年1月30日(土)
京王プラザホテル
◆内容◆ 
刀剣  「古一文字と一文字」
岩田 隆 講師
刀装具  「後藤家の獅子について」(池田 長正 講師)
一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品




刀装具
池田長正 講師


刀剣
岩田 隆
講師



東京都支部 新春鑑賞研究会報告
                         松本啓之亮


平成28年1月30日、京王プラザホテルにて東京都支部新年鑑賞研究会が開催されました。
前日より大雪警報が出る寒い中、70名近くの方が参加されました。

刀剣は岩田隆講師、刀装具は池田長正講師を、お招きして行なわれました。
刀剣は古一文字から一文字までの名刀が15振並び、刀装具は後藤家を中心に獅子の図柄の名品が
展示され、今回はどれを取っても大名品で、参加者の方々は熱く鑑賞されていました。


池田講師から刀装具の解説を頂いた後、岩田講師から鑑賞刀の解説をいただきました。
一文字派の作域の変遷を学ぶ上で、今回は貴重な資料が数多く並んでいました。

鑑賞刀の解説の後、鑑定刀の解説となりましたが、今回は難問揃いで、1号刀は草書銘国貞の刀、
2号刀は直刃の長曾祢乕徹の刀、3号刀は長曽祢興正の脇差、4号刀は長船物の長光あたりにも
見える吉房の太刀、5号刀は古備前か古一文字にも見える則房の小太刀で、4号刀、5号は
一文字派の太刀という事もあり、あらためて一文字派の作域の広さに驚かされました。


さすがにお正月にふさわしい難問ぞろいの鑑定刀で、入札者の方々はかなり苦労され、
天位は55点となりました。


解説の後、岩田講師より入賞者発表後、上位5名に賞品が手渡されました。  

成績上位者
天位  小池利光氏  椎名悦三氏  廣井章久氏
地位  冥賀亮典氏
人位  宮野貞司氏

鑑賞会終了後同ホテル内にて、新年の懇親会が催され、多くの方が参加されました。
東京はもとより、関東一円、遠くは東海や近畿からの参加者もあり、他支部の方々
とも親しく交流ができ楽しく過ごしました。

次回は3月19日(土)刀剣博物館にて開催予定です。
他支部の方々も是非ご参加下さいませ。参加費は2000円となります。





◆平成二十七年度 第三回鑑賞研究会◆
平成27年9月19日(土)
刀剣博物館4階講堂
◆内容◆ 
刀剣  「慶長新刀の魅力」(梅野 勉 講師 / 飯田 慶雄 講師)
刀装具  「龍紋について」   (池田 長正 講師)
一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品





慶長新刀の魅力
飯田 慶雄 講師



龍紋について

池田 長正 講師

 


刀剣一本入札鑑定
梅野 勉 講師


東京都支部9月定例鑑賞会 飯田慶雄

平成27年9月19日、全国に猛威を奮った記録的豪雨も過ぎ、
晴れやかな晴天のもと刀剣博物館4階講堂にて東京都支部9月定例鑑賞会が開催されました。
当日の参加者は60人超、初めて鑑賞会に参加するという中学生や女性会員、
海外からの参加者も新たに加わり盛況に行われました。


 刀剣は「慶長新刀の魅力」と題して華やかなりし桃山文化の隆盛を示すかのような、
豪壮な名刀が集められた。鑑賞刀は慶長新刀の目指した作品の例として、

備州長船兼光、長義、高木貞宗から始まり、越前康継、越後守国儔、出羽大掾国
路、城州国時、和泉守国貞、越中守正俊、尾張氏宣、肥後守輝広、肥前国住人忠吉、
南紀重国、繁慶などを並べ、飯田慶雄が解説した。


 今回は最初の5振りが特別重要刀剣と名刀が並べられたが、特に高木貞宗は一見、
貞宗の極めでも良さそうな名刀に見えた。聞くところによると第二回重要刀剣指定品とのことで、
重刀審査開始時は今とは違い今後の審査の指針とするべく指名で集められた作品もあったという。
先人たちの作品に対する厳格なる位取りと鑑識眼を学ぶ良い機会であった。


 また誰も現物を拝見したことがないという、江か化物かというような珍品で
堀川一門と伝えられる国時の作品が出品された。試しに若手職人二人に入札させてみたところ
堀川国徳という見事な札を返された事には舌を巻いた。
これだけ見られるのならば、もう入札は卒業してこれからは講師に回れと提案しようと思う。


 刀装具は「龍紋」と題して後藤家初代祐乗の目貫、三所をはじめ、後藤家各代宗家の作品に、
三角や安親などの珍品や赤文の名品などが並べられた。
池田長正講師によるパネルを用いた丁寧な解説が行われ、改めて後藤家の格調高さと、
以降の作家たちの独創性が感じ取る事ができた。


 入札鑑定の解説は梅野勉講師により行われ、常の作よりも出来の優れた名刀揃いだった為か、
みな苦戦し天位が60点という大混戦となった。


一号刀 出羽大掾國路
二号刀 村正
三号刀 賀州住兼若
四号刀 越中守正俊
五号刀 無銘(志津)

成績上位者(敬称略)は
天位 藤代龍哉
地位 会田攻 今泉濬 中村和人
人位 松本啓之亮 藤枝一政 

次回は1月30日(土)京王プラザホテルにて開催されますので、他支部の方々も
お誘い合わせの上ぜひご参加ください。




◆平成二十七年度 第二回鑑賞研究会◆
平成27年7月18日(土)
刀剣博物館4階講堂
◆内容◆ 
刀剣  「日本刀の姿について」(葉山 修陽 講師)
刀装具  「宗珉とその一門」   (松永 廣吉 講師)
一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品





刀剣一本入札鑑定
吉野 太一 講師



宗珉とその一門
松永 廣吉 講師

 


日本刀の姿について
葉山 修陽 講師



東京都支部 7月定例鑑賞会報告


                              荻野光章

東京都支部の七月定例鑑賞会は、七月十八日十二時半より
刀剣博物館四階講堂に於いて開催されました。

今回のテーマは、刀剣鑑賞は「日本刀の姿」反り、棟、切先について、
刀装具は町彫りの成立と展開についてと、恒例の一本入札鑑定が行われました。

刀装具の解説は、松永廣吉講師により多数の刀装具の優品が出品され、
作品に沿って解説が始まりました。
町彫の成立は、元禄・享保の頃より、横谷宗珉による四分一地の片切彫に始まり、
それまでの後藤物に比べ廉価であった事は人々に受けいられました。その後多く
の有力分派へと発展し、中でも柳川派、大森派、石黒派、菊岡光行、遅塚久則等
多くの名人上手を輩出しました。
中でも石黒政常による花鳥風月や猛禽類の描写は独壇場の観があり、今でも高い
人気を誇っております。最後に各派の頭領になった時点から、頭領のみ三角鏨を
使用している事等、大変勉強になる解説を伺うことができました。

鑑賞刀の解説は、葉山修陽講師により行われました。出品されたのは、
1、太刀「重助」、2、太刀「国宗」、3、刀「伝長義」、4、刀「則光」、
5、刀「藤原正弘」、6、刀「筑州柳川住鬼塚吉国」でした。
鎌倉期より江戸初期の時代と共に変遷する姿、反りの基点、鎬や切先の大きさ等により
それぞれの時代特有の時代相が各部に反映される事等、丁寧に解説をいただきました。

鑑定刀の講評は吉野太一講師により行われました。 
鑑定刀は、1号刀、刀、無銘「志津」、2号刀、短刀「備前兼光」、3号刀、刀「初代兼房」、
4号刀、短刀「二代兼房」、5号刀、刀「筑前守信秀」の以上五振でした。
2号刀の兼光は左一門の作風に紛れるもので、多くの札が左一門入札されました。
3号刀は、一言に末関と云うには作風に古雅なところがあり札が散りました。
5号刀の信秀は、受領直後のもので珍しいものとの事でした。

入札成績は、
天位、中村和人氏、
地位、冥賀亮典氏、
人位、奈良原和夫氏、梅野勉氏、でした。

今回も役員方々のおかげで楽しいをすごす事ができました事、感謝しつつここに
ご報告させていただきます。





◆平成二十七年度 第一回鑑賞研究会◆
平成27年5月23日(土)
京王プラザホテル
◆内容◆ 
刀剣  「匂出来と錵出来の刀について」(平田 泰雄 講師)
刀装具 「透鐔から見た後藤家十代」  (葉山 修陽 講師)

一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品





匂出来と錵出来の刀について
平田 泰雄 講師



透鐔から見た後藤家十代
葉山 修陽 講師

 


一本入札鑑定
冥賀 吉也 講師



5月定例観賞会報告      東京都支部 冥賀亮典



平成27年5月23日、新宿京王プラザホテルにおいて東京都支部5月定例鑑賞研究会が開催されました。

新緑が映える五月晴れのなか60名を超える方々が出席されました。


刀剣は「匂出来と錵出来の刀について」 と題して平田泰雄講師より解説がありました。

出品刀は、沸出来の作品が相州行光、長谷部国重、石川幸久、越前康継、肥前正広、近江守忠綱、薩州正良、栗原信秀、宗勉(現代)が並べられ、匂出来の作品として福岡一文字、康永(応永備前)、兼房、対馬守常光、藤本義久(現代)がありました。沸出来と匂出来の違いは、沸の粒子を肉眼で判別できるものを沸出来、判別できないものが匂出来になります。
例えれば、夜空の天の川の星が沸、靄(もや)が匂であるとのことでした。沸出来と匂出来のもののどちらが優れているというのは好みの問題であるが、沸出来の作品でも、相州上工の沸は特に良く、細かい丸い沸となり、刃が明るく冴えてみえる。
一方、薩摩刀などは沸が荒くなるということです。匂の締まったものは健全なものが多いそうです。


刀装具のテーマは「透鐔から見た後藤家十代」として、葉山修陽講師から解説がありました。室町期・安土桃山期・江戸期の3つに時代を区切り、それぞれの時代の透鐔と後藤家の作品が陳列されていました。室町期は尾張、金山、古正阿弥の鐔、祐乗、宗乗、乗真。安土桃山期は信家・山吉兵の鐔、光乗、徳乗、栄乗。江戸期は、京透、正阿弥、彦三、赤坂、柳生の鐔、顕乗、即乗、程乗、廉乗の名品が並べられました。室町期の鐔は初めは櫃孔が左右対称で、古いものは櫃孔が大きく縦長であったが次第に小さく縦長ではなくなり、さらに時代が下ると半月・州浜形になるなどの説明がありました。
時代背景や文化も考えながら、透鐔と後藤家の作品を鑑賞すると、より造形深く理解できるのことでした。


恒例の刀剣一本入札鑑定は冥賀吉也講師より詳細な解説がありました。島田義助は皆焼刃が刃・棟方双方よりの焼刃のもっとも高い箇所が同所で重なり合いそうになり砂流しかかる。兼先は、一見すると永享備前にみたくなるが、匂い出来に美濃物特有の互の目丁字を交え、帽子は地蔵風となる。越中守正俊のような1尺4~5寸の菖蒲造の脇指は慶長新刀に多くみられ、丁字と丁字が重なり合ったクチャクチャとした独特な刃がみられる。備中守康宏は江戸石堂でも焼出しがある。
伯耆守信高は平肉がついて重く重ねも厚くなり、矢筈刃・角張った刃・尖り刃などが交じるとのことでした。



一号刀、 短刀 島田義助

二号刀、 脇指 兼先

三号刀、 脇指 越中守正俊

四号刀、 脇指 備中守康広

五号刀、 脇指 伯耆守信高


成績上位者は

天位 藤代龍哉氏、中村和人氏

地位 竹本福一氏、松本啓之亮氏

人位 苅田直樹氏、細田栄能介氏、宮野貞司氏、会田攻氏


次回は7月18日(土)刀剣博物館四階講堂にて開催されますので、他支部の方々も剣友をお誘いあわせの上ご来場下さい。





◆平成二十六年度 第五回鑑賞研究会◆
平成27年1月31日(土)
京王プラザホテル
◆内容◆ 
刀剣  「細川正義とその一門」(冥賀 吉也 講師)
刀装具 「透し鐔について」古刀匠・古甲冑師・尾張・金山他(園 平治 講師)

一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品





一本入札鑑定



一本入札鑑定
解説: 平田 泰雄 講師

 

刀剣:細川正義とその一門
冥賀 吉也 講師




刀装具:透し鐔について
園 平治 講師




新年懇親会 集合写真

ダウンロードはこちら


正月定例観賞会報告      東京都支部 冥賀亮典


平成27年1月31日、新宿京王プラザホテルにおいて東京都支部新年鑑賞研究会が開催されました。
前日は都心でも今期初の積雪となり、交通機関への影響が心配されましたが、
当日は雲ひとつ無い晴天に恵まれて70名を超える方々が出席されました。

刀剣は「細川正義」について冥賀吉也講師より解説がありました。
出品刀は、全て細川正義で珍しい初代の作品や初期の守秀銘始まり、25振が並べられました。
正義の姿の特徴、「細川丁子」の変遷と見どころ、中心の形と鑢目の見どころなどの詳しい説明がありました。
正義を藩工として抱えた作州津山藩には、当時の出来事が記録された文書としてのこされており、
その中に細川一門に関連する記録も数多くある話が興味深かったです。

刀装具のテーマは「透し鐔について」として、古刀匠・古甲冑師・京透・正阿弥・尾張・金山の名鐔が
陳列され、園平治講師から作品それぞれに詳細な解説をしていただきました。
鉄鐔のなかでも透し鐔は、良いものは古雅な錆がついており、優れたデザインからは当時の武士たちの気分を窺い知ることができる。品格のある名品をみて楽しんでいただきたいとのことでした。

恒例の刀剣一本入札鑑定は平田泰雄講師より詳細な解説がありました。
出羽大掾国路は常々みるものよりも激しい出来で、伊予掾宗次の入札もありましたが、
やはり地鉄がザングリとして帽子はのたれ込んで尖る三品風となる。
三善長道は一見ハネトラに見えるが地刃のさえが虎徹には及ばない。
新藤五国光は吉光、来国俊の意見もあったが刃沸が一段と良い。
藤嶋友重は一見、同じ北陸道筋の越中則重を彷彿させるが、姿の寸が延びるのは室町時代まで下がり、
柾目が目立ち、沸も則重には及ばず、宇多一派の入札が多くありました。
さすがに正月の鑑定刀にふさわしい難問揃いでありましたが、五号刀の藤嶋友重を唯一人当てられた
橋本太郎氏の眼力には感嘆しました。

鑑定刀は以下の通りです。

一号刀、 刀 出羽大掾国路
二号刀、 脇指 三善長道
三号刀、 短刀 新藤五国光
四号刀、 短刀 左安吉
五号刀、 短刀 藤嶋友重

成績上位者は
天位 太田士郎氏
地位 中村和人氏、宮野貞司氏、会田攻氏
人位 大平将広氏、渡辺英男氏、松本啓之亮氏、藤代龍哉氏、冥賀亮典氏となり、
各氏に松永廣吉支部長より賞品が授与されました。

観賞会終了後、同ホテル内で新年の懇親会が催され、こちらにも殆どの方が参加されました。
松永支部長の挨拶に始まり、終始和やかな雰囲気の中で、当支部会員はもとより、関東一円、
遠くは近畿地方から出席の他支部の方々とも親しく交流が出来て、大変有意義な時間を過ごせました。
なお、今回撮影しました集合写真につきましては支部ホームページにアップロードされますので、
ご希望の方はアクセスしてみてください。



◆平成二十六年度 第四回鑑賞研究会◆
平成26年11月22日(土)
刀剣博物館 4階講堂にて
◆内容◆ 
刀剣  「古備前」(岩田 隆 講師)
刀装具 「刀装具の見方」(髙橋 歳夫 講師)

一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品

 




刀装具の見方
髙橋 歳夫 講師



刀剣:古備前
岩田 隆 講師


11月東京都支部定例鑑賞研究会
                           東京都支部  藤野 工

日増しに寒さが身にしみる季節となり三連休の初日の11月22日土曜日、刀剣
博物館四階講堂において東京都支部11月鑑賞研究会を行いました。
当日は晴天に恵まれ50名を超える方々が出席されました。

刀装具は、高橋歳夫講師により『刀装具の見方』と題して、信家、金家、西垣勘
四郎、林又七、奈良派(利壽,乗意,正長)の鍔や縁頭の実物と、それと併せて
それらの金工の文化財などに指定されている名品の原寸の写真を用意していただ
いて講義が行われました。
それぞれの作品の特徴、図柄の解説、構図について、細部の特徴、図柄に使用さ
れている材料の考察、同工銘ぶりの異なる作品の違い、他派との違いを解説いた
だきました。

刀剣は、『古備前』がテーマであり、鑑定刀を含め古備前が25振り一堂に会し、
友成、正恒をはじめ、利恒、真恒、基近、助守,順慶、吉宗,吉包、末行、信房、
成高、恒次といった刀工のほとんどが在銘作であり、尚且つ状態が良く中には生
の姿で健全な太刀もありました。此の先これほどの古備前をテーマにした鑑賞会
が開催されることが期待できるかどうか分からないくらい圧巻でした。そのうえ、
手に取って鑑賞出来ることはこの上ない幸いな経験でした。

岩田隆講師に古備前について解説していただきました。友成と正恒の違い、正恒
の銘字の種類、当派の二重刃や飛び焼きを見せる太刀の特徴、古備前から長船派
形成への推移などの解説が行われました。

一本入札は

一号刀 豊後行平
二号刀 伯耆安綱
三号刀 友成 (古備前)
四号刀 正恒 (古備前)
五号刀 基近 (古備前)

天位 松本 啓之介氏
地位 二階堂 克弥氏
人位 藤代 龍哉氏 冥賀 亮典氏

次回は1月31日12時半から、新宿京王プラザで開催予定です。
他支部の方々も奮ってご参加ください。



◆平成二十六年度 第三回鑑賞研究会◆

平成26年9月27日(土)
京王プラザホテルにて
◆内容◆ 
刀剣  「錵出来の刀剣」(梅野 勉 講師)
刀装具 「間(はざま)鐔」(福士 繁雄 講師)

一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品





刀装具
福士 繁雄 講師



刀剣
齋藤 恒 講師
 


刀剣
梅野 勉 講師


 
 九月定例鑑賞研究会
                           東京都支部  二階堂克弥

 九月二十七日、秋らしくなったこの日、十二時半より新宿京王プラザホテルにおいて
定例鑑賞研究会が開催されました。


 まず福士繁雄講師より、ご所持の刀装具と肥後拵四振りをお持ち頂きまして、
ご自身が手に入れられた経緯等のお話しと、間鐔の解説を頂きました。 
福士先生は、八十九歳と言うお年ながら、年齢を感じさせないお若さで、
普段聞けないお話しを頂き、会員皆、真剣に聞き入っておりました。


 福士先生には、東京都支部草創期より、刀装具についてご教授頂いて参りました。
福士先生の御健勝と益々の御活躍をお祈り致します。


 次に沸出来の刀剣と題して、十六振りの鑑賞刀が並べられ、
齋藤恒講師より一振りずつ丁寧な解説が行われました。


 鎌倉一文字助綱、伝行光、伝当麻、来国光、末相州廣次、繁慶、丹波守吉道、
真改国貞、源清麿等、錚錚たる名刀ばかりでした。

  特に、伝行光、伝当麻を並べて、比較、研究出来る様に配慮されていたことは、
大変勉強になりました。
また、黒田官兵衛所持の圧切り写しの刀は、現代刀匠貞弘作で、大変素晴らしく、
脇指の長谷部国重と比べて鑑賞出来る様にされていました。

  今回、古刀から新刀、新々刀の沸出来の刀を一堂に会したことにより、その違
いを比較、勉強することが出来ました。

 入札鑑定刀の発表に先だって、梅野勉講師より、沸は星空の如く明るく輝き、
刀に変化を与える芸術的なところに魅力を感じるとのお話しがなされました。
 鑑定刀は、いずれも沸出来の以下五振りの刀でした。

一号刀 太刀 銘 吉包(古備前)
二号刀 短刀 銘 国光(新藤五)
三号刀 刀 大磨上無銘 志津
四号刀 短刀 銘 左安吉
五号刀 刀 銘 越中守正俊

  成積は次の通り(敬称略)。

天位 小川和比古
地位 飯田慶雄 緒方嘉隆 小池利光 渡辺英男
人位 浅川泰行 中村和人

 今回も大勢の方にお集まり頂き、終了時間を惜しみながら、十六時にお開きと
なりました。




◆平成二十六年度 第二回鑑賞研究会◆

平成26年7月19日(土)
刀剣博物館 4階講堂にて
◆内容◆ 
刀剣  「末古刀 黒田官兵衛にちなんで」(紙谷 治宏 講師)
刀装具 「肥後拵を造るについて」 (飯山 嘉昌 講師)

一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品





刀剣
紙谷 治宏 講師



刀装具
飯山 嘉昌 講師


七月東京都支部定例鑑賞会                            髙橋 正法

七月十九日(土)、五十名を超える参加者が曇り時々局地的豪雨の中、

東京都支部の刀剣刀装具鑑定研究会が刀剣博物館4階で行われました。


今回の講師は紙谷治宏先生をお招きし、末古刀の各時代の姿や作風について
備前刀・相州刀・美濃刀を中心に二十二点解説をして頂きました。

今回のように末古刀の刀が一堂に展示されたことがあまりなく会員一同、
比較研究には最高の機会となりました。

鑑定刀は、
一号刀 太刀 備前国長船住左近将監長光造
       永仁二年甲午七月日
二号刀 太刀 長以下不明
三号刀 太刀 長光
四号刀 短刀 長光
五号刀 短刀 長光

鑑定刀は一本入札で行われ、1号刀から5号刀まで備前長船長光であった為
中々当たりませんでした。

太刀姿のものは、鎌倉期の刀工に入札が入るが、一号刀は当たりが出ず
二号刀は一人が当たり、三号刀は九人の当たり、五号・六号刀は一人ずつの
結果になった。
何年か前にも鑑定刀が全部初代忠吉であったことがあり、
また東京都支部の伝説が出来上がりました。

成績発表は次の通りでした。
天位 藤代龍哉氏
地位 松本啓之亮氏・冥賀亮介氏・宮野貞司氏
人位 ポールマーティン氏・会田攻氏・堀込晋氏・竹本福一氏でした。
鑑定刀の解説は紙谷先生にA3の用紙に原寸の物打ち・茎、短刀は全身の押型を記載した物を用意してもらい配布、それを見ながら紙谷治宏先生に解説をして頂き大変勉強になりました。

刀装具鑑賞の講師は飯山嘉昌氏、「肥後拵を造るについて」がテーマでした。
肥後拵の成立・肥後拵の特徴を解説していただき、柄・目貫・鐔・小柄・
笄・馬針・肥後拵・鮫皮等を持参展示して見ることにより、
肥後の拵に必要なものは何かを教えていただきました。

次回開催は九月二十七日京王プラザホテルにて、午後十二時半よりの予定です。
他支部の方々も奮ってご参加ください。



◆平成二十六年度 第一回鑑賞研究会◆
平成26年3月21日(金)祝日
刀剣博物館 4階講堂にて
◆内容◆ 
刀剣  「私の愛刀について」(今泉、米岡、高橋、二階堂 講師)
刀装具 「古鐔について」 (松永 廣吉 講師)

一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品




刀剣
今泉 濬 講師



刀剣
米岡 講師
 
刀剣
高橋 孝 講師

刀剣
二階堂 克弥 講師

 

一本入札鑑定
冥賀 吉也 講師
 

刀装具
松永 廣吉 講師


三月東京都支部定例鑑賞会                                    藤野工

雀が巣を構え始める3月21日、刀剣博物館四階講堂にて定例鑑賞会が行われました。

今回は新たな試みで“わが愛刀について”と銘打って四名の講師自身がお持ちの
刀剣・拵えを持参、出品していただき見所やお持ちの刀剣についての思いをレク
チャーしていただきました。
今泉講師の自身の刀剣制作の焼き入れに立会い、ご自身で焼き入れしたからこそ
知りえた考察、米岡講師による刀剣の手入れで魅力を引き出すことができること、
高橋講師による小反り(備前物)について、二階堂講師による齋藤正義(齋藤道
三の養子)の肖像画を用いた小太刀の拵えについて。
新たな試みでありましたが、美術品の中で刀剣という限られた分野において、愛
刀家それぞれの好みや刀剣に対する考え方などを鑑賞会に集まった愛刀家に広く
共有することで様々な刀剣の価値や趣向を高める機会になったのではないでしょ
うか。

刀装具は松永講師による“古鐔”についてです。甲冑師、古刀匠、鎌倉、応仁鐔
についてそれぞれの見所や名称の由来などを解説していただきました。
なぜ古鐔なのか、“物事の発祥の例を把握すること”、それぞれの区分の特徴や
違いを把握して鑑賞することが大事だと解説されました。

鑑定刀は五振り用意され
一号刀 貞真 (古一文字)
二号刀 光忠
三号刀 相州広正
四号刀 相州綱広
五号刀 長曽禰興正

冥賀講師による解説が行われなした。それぞれの時代の刀の姿を把握するのは最
も大事であるが、時代と時代の狭間所謂“過渡期”の姿を把握すること、彫り物
がある刀は彫り物の特徴を把握すると鑑定の大きな助けになることを解説してい
ただきました。

天位 宮野貞司氏
地位 ポール・マーティン氏
人位 会田 政氏 服部一隆氏

次回は7月19日(土)刀剣博物館四階講堂にて行いなすのでよろしくお願いします。




◆平成二十五年度 第五回 新年鑑賞研究会◆
平成26年1月18日(土)
靖國神社 靖國会館にて
◆内容◆ 
刀剣 「堀川國廣とその一門」 (岩田 隆 講師)
刀装具 「江戸金工と水戸金工」 (園 平治 講師

一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品




刀剣
岩田 隆 講師



堀川國広とその一門
岩田 隆 講師
 
 

刀装具:江戸金工と水戸金工
園 平治 講師

 

一本入札鑑定
岩田 隆 講師


正月定例観賞会報告      東京都支部 冥賀亮典


平成26年1月18日、靖国神社靖国会館にて東京都支部新年鑑賞研究会が行われました。
大寒を間近に控えたこの日は、厳しい冷え込みでしたが、陽の差す空は青空が見え、
70名を超える方々が出席されました。

刀剣は3月より開催される「企画展 堀川国広とその一門」に併せて
岩田隆講師をお迎えし、特別鑑賞会を行っていただきました。
出品刀は、重要美術品2振、特別重要刀剣2振を含む豪華なもので、まず堀川国広が
10振並べられ初期の古屋打ちや緻密な彫物のあるもの、珍しい薙刀などがありました。
一門では実忠、大隅掾正弘、堀川国安、出羽大掾国路、河内守国助(初代)、
平安城弘幸の合計18振でした。国広と一門の作品をこれほど多く鑑賞するのは
初めてのことで、国広一門の技量の高さを改めて認識しました。

岩田隆講師から国広について古説にとらわれぬ解説をいただきました。
国広の作品は天正4年より始まり天正18年に足利学校を訪れ同地で作刀も行い、
慶長4年には京に定住しています。
以前は、長尾顕長に招かれたとの説が有力でしたが、国広は当時としては相当に
教養のあった文化人で、足利学校に九州出身の庠主(校長)がいた縁もあり、
講師として招聘されたのであろうとのことでした。
また、足利学校の庠主(校長)からの紹介で政治・経済の中心であった京や大坂の
豊臣家や文化人・宗教人らと繋がりが生まれ、その後は京に定住し作刀したが、
国広にとってのターニングポイントは足利学校であったとのことでした。
作風については初期は末相州風があり、のち相州上工を意識した写しものや志津風の
ものがある。また、彫物では大黒天の特長や銘字の変遷などについても説明がありました。

刀装具のテーマは「水戸金工と江戸金工」で、園平治講師から作品それぞれに詳細な解説を
していただきました。刀装具は金工の代表作となる良いものを多く見て、
よく比較検討することが大切であるとのことでした。

出品作品25点は以下の通りです。
平田道仁、菊岡光利、岩本昆寛、田中清寿、柴原寿良、村上如竹、津尋甫、染谷
知信、乙柳軒味墨、遅塚久則、萩谷勝平、大川貞幹、海野勝眠、海野美盛   

恒例の刀剣一本入札鑑定は岩田隆講師より丁寧な指導で行われました。テーマであった
国広一門の国広と国路の2振があり、天正頃の国広の作品では互の目の焼頭で匂口がしまり逆に互の目と互の目の谷では沸がこごることや彫物が緻密になるなどの鑑定の見処を
再度説明がありました。また、二号刀をただ一人当てられた会田氏には見処の意見を
述べてもらうなどユニークな解説方法で大変に勉強になりました。
鑑定刀は以下の通りです。

一号刀、 刀 日州古屋住国広(天正14年紀)
二号刀、 短刀 賀州景平
三号刀、 短刀 藤嶋友重
四号刀、 刀  出羽大掾国路
五号刀、 脇指 繁昌

成績上位者は
天位 藤代龍哉氏、宮野貞司氏
地位 水田吉政氏
人位 松本啓之亮氏、会田政氏、飯田慶雄氏となり、
各氏に松永廣吉支部長より国広展の図録が賞品として授与されました。

新年から刀剣、刀装具の名品を鑑賞し眼福の極みでした。
観賞会終了後、場所を移動して新年の懇親会が催され、こちらにも殆どの方が
参加されました。松永支部長の挨拶に始まり、和やかな雰囲気の中で、当支部会員は
もとより、関東一円、遠くは大阪・兵庫から出席の他支部の方々とも親しく交流が出来て、大変有意義な時間を過ごせました。

今回、特別鑑賞会を行っていただいた「企画展 堀川国広とその一門」は左記の日程で
開催されます。岩田隆講師の長年にわたる研究成果が発表される講演会や、それらを纏めた
国広の足跡・年表も掲載された図録も販売されます。近隣の方ならずとも是非お出かけください。

開催期間 平成26年3月15日(土)~5月6日(火) 
場所 古河歴史博物館 〒306-0033 茨城県古河市中央町3-10-56
講演会 「堀川国広とその一門」 
講師 岩田 隆
日時 4月19日(土)14時~
図録 2,500円




◇平成25年度鑑賞会・研究会◇

◆平成二十五年度 第四回研究鑑賞定例会◆
平成25年12月7日(土)
靖國神社 靖國会館にて
◆内容◆ 
刀剣 「短刀」 (平田 泰雄 講師)
刀装具「登竜門 いつ?」 六名の講師
(葉山 修陽 講師、山田 等 講師、小田 純子 講師、高橋 孝 講師、浜崎 旨朗 講師、星野 秀一 講師)

一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品




刀装具
葉山 修陽 講師

 
刀装具
山田 等 講師
  
刀装具
小田 純子 講師



刀装具
高橋 孝 講師
 

刀装具
浜崎 旨朗 講師
 

刀装具
星野 秀一 講師
 
 
刀剣
平田 泰雄 講師
 

 
 
刀装具

講師陣 六名


十二月東京都支部定例鑑賞会  東京都支部 藤田裕介


平成二十五年十二月七日、師走の好天に恵まれた中、

靖国神社靖国会館にて東京都支部定例鑑賞会が行われました。
今回の鑑賞刀のテーマは『短刀』。

鎌倉末期の来国俊から、尻懸則長、景光、康光、兼定、大道、国廣、国路、直胤、宗次、

そして現代刀匠の昭次まで各時代を経た計二十三振りの短刀が並びました。

平田泰雄講師の解説では名刀鑑賞の図譜を交えながらの講義で、

尚且つ目の前にこれだけの短刀が時代別に並んでいることで、

その時代時代によって短刀の姿、形が変化していくことが十分に理解することが出来、

堪能する事が出来ました。

刀装具のテーマは『登竜門 いつ?今でしょう』と今年の流行語を用いたように

今までとは一風変わって、当支部会員六名の方々が刀装具に興味を持ち始めた

キッカケを愛蔵品を展示しながら講義してくださいました。

葉山修陽講師は後藤通乗、矩随、光興らの小柄を用いて江戸金工160年間の作の変化を、

山田等講師は刀装具にのめり込んだキッカケとなった長常の縁頭や田辺伴正の目貫を、

小田純子講師は刀装具に興味を抱いてからどうしても手に入れたかった品の政明の作品を、

高橋孝講師はご自身で作成されるキッカケとなった拵え三点を、

浜崎旨朗講師はご自身が好まれている奈良派の利寿から政随、政盧への作の変化を、

星野秀一講師は骨董市など様々なところを巡って魅せられた古美濃、古金工、古後藤の笄を

皆様ご自身の体験を交えながら思い思いの話してくださることで
いずれも一級品の品々ながら、とても身近に感じられることが出来て
とても有意義な講義となりました。

鑑定刀は

一号刀 兼宿

二号刀 包清

三号刀 相州貞宗

四号刀 長光

五号刀 吉光

六号刀 相州住廣正

今回も名品揃いで、その中でも六号刀の廣正は難解で正解された方はごくわずかでした。

天位 松本啓之亮氏 中村和人氏

地位 宮野貞司氏

人位 葉山修陽氏 遠山光氏 太田士朗氏

今回も鑑賞刀の陳列された数は壮観でしたし、鑑定刀はどれも名品揃いでした。

刀装具の鑑賞も普段とは違った視点からの講義だったので、
とても楽しく勉強させていただきました。

また次回も楽しい鑑賞会を期待させていただきます。




◆平成二十五年度 第三回研究鑑賞定例会◆
平成25年9月28日(土)
靖國神社 靖國会館にて
◆内容◆ 
刀装具 「頭と縁」 (飯山 嘉昌 講師)
刀剣 「丁字刃の刀について」 (平田 泰雄 講師)

一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品




刀装具: 頭と縁
飯山 嘉昌 講師

 
刀剣:丁字刃の刀について
平田 泰雄 講師

 
 
一本入札鑑定
冥賀 吉也 講師
 


東京都支部九月定例鑑賞会報告 服部 一隆

東京都支部の定例鑑賞会は九月二十八日、靖國神社靖國会館にて行われました。
まだ暑さの残る中多数の方がご参加下さいました。

今回の刀装具鑑賞のテーマは「頭と縁」
飯山嘉昌講師にご解説頂きました。
室町の肥後、尾張から、江戸期の著名工の頭、縁、縁頭の名品が四十数点が並び、
材質や室町末期から江戸時代を中心に時代に沿いつつ当時の刀や時代背景、
流行等を交えながら変遷や著名工についてお話頂きました。

鑑賞刀のテーマは「丁字刃の刀について」
平田泰雄講師にご解説頂きました。
鎌倉時代の古備前、一文字、光忠、末備前、新刀、現代刀に至る丁字刃の
名刀二十振が並びました。
資料として山鳥毛の押形等も交えつつ福岡一文字と吉岡一文字の違いといった
様々な丁字の違いを鑑賞刀と共にご教授頂きました。

一本入札鑑定の鑑定刀は以下の五振りでした。
一号刀 太刀 銘「真利」福岡一文字
二号刀 刀 銘「粟田口近江守忠綱 以地鉄鍛作之」
三号刀 脇指 銘「武蔵大掾是一」
四号刀 刀 銘「石堂藤原是一精鍛 文久三年八月日」
五号刀 刀 銘「周防国杉田善昭作 平成十七年八月日」
冥賀吉也講師にご解説頂きました
こちらも今回のテーマに沿った丁字の刀が並びそれぞれの刀の特徴を
細かに学ぶことが出来ました。

成績上位の方々は
天位、荻野光章氏
地位、宮野貞司氏 真木堂智氏
人位、遠山 光氏

また今回鑑賞、鑑定刀にも用いられました昨年亡くなられた
杉田善昭刀匠につきまして
藤代興里師にお話を頂きました。
刀剣に携わる者として深く哀悼の意を表します。
皆様名残惜しみつつ16時に散会となりました。




◆平成二十五年度 第二回研究鑑賞定例会◆
平成25年7月20日(土)
靖國神社 靖國会館にて
◆内容◆ 
刀剣 「下原刀とその技術の流れについて」 (苅田 直治 講師)
刀装具 「信家の放れ銘と大字銘」 (伊藤 満 講師)
 
一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品



下原刀とその技術の流れについて
苅田 直治 講師

 
小道具の真偽について
高橋 歳夫 講師

  
信家の放れ銘と大字銘
伊藤 満 講師
 
  
鑑定刀の解説
藤代 興里 講師


東京都支部・七月研究鑑賞定例会について   苅田 直樹


七月二十日靖國神社内靖國会館にて、
東京都支部定例研究鑑賞会を開催しました。
暑い中、60名の会員が参加されました。
また、今回の研究刀の講師を、東京多摩
支部の苅田直治 副支部長にお願いしたこともあり、
同支部からも5名程参加して頂き、交流も深められました。

鑑賞研究刀の課題は下原刀。
苅田講師に持参していただいた17本の刀を時代順に並べ、
末相州・小田原相州との関係・地金・彫・下原の技術の流れについての説明を、
詳細にしていただきました。また、綾杉肌の作り方見本を見せて頂いたのは、
今まで聞いて想像していたのと違い実物を手に取って観る事の大切さを知りました。

小道具の真偽について高橋歳夫講師に解説してもらいました。
本物と偽物を並べてわかりやすくしっかりと解説して下さり、
皆真剣に聞き入ってました。

信家についてを課題に、伊藤満講師からは、
「太字銘とはなれ銘の解説、他の金工程派手では無い。信家という塊として見る。」
とのの貴重な解説をして頂きました。
特に手に持つことはなかなか出来なかった名品でしたので、皆真剣な眼で手に持ち、
重さをしっかりと感じ取れたのはとても良い経験になりました。


鑑定刀は、
一号刀 繁慶
二号刀 来国俊
三号刀 肥前国忠吉
四号刀 以南蛮鉄於武州江戸越前康継
五号刀 源清麿 弘化丁末年八月日でした。

入札成績上位者は、
天位 100点 飯田 慶雄氏
地位 95点 中村 和人氏
人位 80点 高橋 孝氏
次点 75点 松本 啓之亮氏 渡邊 英男氏でした。

鑑定刀は、いずれも出来の良い名刀揃いで、
解説を藤代 興里 講師にしていただきました。
解説後、京逆足等を確認できたのは次の鑑定に繋げたいと思います。 


今回の鑑賞会に御協力頂いた皆様に、心より御礼申し上げます。             
毎回題材を決めて刀装具と刀剣の展示を行う東京都支部研究鑑賞定例会ですが、
今回は「後藤家の笄」と題し上三代をはじめとする後藤家の名品の数々と、
「直刃出来の刀」と題し平安時代から幕末まで二十一振の鑑賞刀と
五振りの鑑定刀が有志の方々のご協力のもと集められ、研究、鑑賞が行われました。

刀装具の解説は萩原守講師に、研究刀の解説は平田泰雄講師により行われました。
また、入札鑑定刀の解説は冥賀吉也講師より頂きました。       
刀装具は「室町期刀装具の華」といわれる後藤家の作品群を手に取り
魚子のうねや肉置、蕨手の形や品格についてなど、各代の見所を伺い、
鑑賞刀は豊後国行平から仙台国包、井上真改、長船長光や国分寺助国の短刀などの
名刀珍品の数々が並べられ、各時代、各流派の特徴を見比べる良い機会となりました。

鑑定刀は以下の5振りでした。

一号 刀 大和守安定 
二号 刀 長曽弥虎徹入道興里(金象嵌)
   寛文元年十二月二十三日 山野勘十郎久英(花押) 三ツ胴切落
三号 脇指 長曽祢興里入道乕徹(延宝元年頃)
四号 刀 近江守法城寺橘正弘
五号 刀 山城守藤原国包(二代)

今回は名工、長曽祢乕徹の二作風とそれを狙った作風の作刀が集められ、
特に大和守安定は正解者が一人だけという難問で、
同作の極めどころとなる横手下の特徴的な刃文の形などについて
鑑定のポイントをご教授頂きました。
成績上位の方々は以下の通りです。

天位 宮野貞司氏 
地位 藤代龍哉氏 
人位 河内義則氏




◆平成二十五年度 第一回研究鑑賞定例会◆
平成25年5月18日(土)
靖國神社 靖國会館にて
◆内容◆ 
刀剣 「直刃出来の刀について」 (平田 泰雄 講師)
刀装具 「後藤家の笄について」 (荻原 守 講師)
 
参考刀鑑賞 支部役員出品




直刃出来の刀について
平田 泰雄 講師

 
後藤家の笄について
荻原 守 講師


 
入札鑑定刀
冥賀 吉也 講師
 


  
五月研究鑑賞定例会  東京都支部 飯田慶雄 

 平成二十五年五月十八日、靖國神社内靖國会館にて
東京都支部の研究鑑賞定例会が行われました。

毎回題材を決めて刀装具と刀剣の展示を行う東京都支部研究鑑賞定例会ですが、
今回は「後藤家の笄」と題し上三代をはじめとする後藤家の名品の数々と、
「直刃出来の刀」と題し平安時代から幕末まで二十一振の鑑賞刀と五振りの鑑定刀が有志の方々のご協力のもと集められ、研究、鑑賞が行われました。

刀装具の解説は萩原守講師に、研究刀の解説は平田泰雄講師により行われました。
また、入札鑑定刀の解説は冥賀吉也講師より頂きました。       
刀装具は「室町期刀装具の華」といわれる後藤家の作品群を手に取り魚子のうねや肉置、蕨手の形や品格についてなど、各代の見所を伺い、鑑賞刀は豊後国行平から仙台国包、井上真改、長船長光や国分寺助国の短刀などの名刀珍品の数々が並べられ、各時代、各流派の特徴を見比べる良い機会となりました。

鑑定刀は以下の5振りでした。

一号 刀 大和守安定 
二号 刀 長曽弥虎徹入道興里 (金象嵌)寛文元年十二月二十三日 山野勘十郎久英(花押) 三ツ胴切落
三号 脇指 長曽祢興里入道乕徹(延宝元年頃)
四号 刀 近江守法城寺橘正弘
五号 刀 山城守藤原国包(二代)

今回は名工、長曽祢乕徹の二作風とそれを狙った作風の作刀が集められ、特に大和守安定は正解者が一人だけという難問で、同作の極めどころとなる横手下の特徴的な刃文の形などについて鑑定のポイントをご教授頂きました。
成績上位の方々は以下の通りです。

天位 宮野貞司氏 
地位 藤代龍哉氏 
人位 河内義則氏




◇平成24年度鑑賞会・研究会◇

◆平成二十四年度 第四回研究鑑賞定例会◆
平成25年1月19日(土)
靖國神社 靖國会館にて
◆内容◆ 
刀剣 「江戸新刀」 (冥賀 吉也 講師)
刀装具 「肥後金工」 (園 平治 講師)
 
参考刀鑑賞 支部役員出品




江戸新刀
冥賀 吉也 講師


 

肥後金工
園 平治 講師


新年鑑賞研究会報告       東京都支部 坂田哲之   

平成25年1月19日、靖國神社靖國会館にて東京都支部新年鑑賞研究会が行われまし
た。

大寒を翌日に控えたこの日も、朝から厳しい冷え込みでしたが、空は快晴で外出
しやすく、69名の方々が出席されました。

今回の刀剣のテーマは「江戸新刀」という事で、冥賀吉也講師により、
姿・地鉄・刃文の特徴を中心に判りやすく解説がなされました。
出品刀は以下の通りです。

刀、於武州江戸越前康継(初代)
  (金象嵌)二ツ筒落 中川左平太(花押)
脇指、日本善 清堯
刀、繁慶
刀、和泉守藤原兼重
脇指、長曽祢興里入道乕徹
刀、大和守安定 万治二年八月日
刀、近江守法城寺橘正弘
  (金象嵌)寛文三年五月日 山野加右衛門行年六十六歳永久(花押)
刀、上総介藤原兼重
  (金象嵌)寛文十一辛亥大脇毛ト二ツ胴切落 前島八郎友次(花押)
刀、肥後守法城寺橘吉次
脇指、武州住石堂秦守久
脇指、七十三翁天秀 文政五年八月日
刀、作於久居 大慶荘司直胤(花押)
  (刻印)イセ天保三年中元為津藩渡辺修
脇指、細川正義以五郎入道伝
    文政十三年庚寅八月吉日
刀、荘司次郎太郎直勝
   安政五年二月日
刀、源正行  
   天保十五年八月日
刀、荘内藩藤原清人
   文久二年正月 於江府造之
刀、石堂藤原是一精鍛
   文久三年八月日

刀装具のテーマは「肥後金工」で、園平治講師によって、作柄を中心に詳しく解
説がなされました。兎に角、良いものを数多く見る事によって比較検討することが重要であると改めて認識させられました。
出品作品は以下の通りです。

平田彦三     
左右海鼠透鐔、阿弥陀鑢鐔、鶴丸透鐔、雲形透日足鑢鐔、結袋縁頭
       山路縁頭
 
林又七  竹透鐔、鶴丸透鐔、遠見松透鐔、桜に流水透鐔、結袋頭、向合鶴頭、
     山路枯木象嵌縁頭

二代林重光    遠見松透鐔、牛に松透鐔
三代林藤八    牛に松透鐔

神吉楽寿     四方蕨手透鐔

初代志水甚五  舟板に蜘蛛図鐔、牛図鐔、梟図透、時雨鑢縁、山路縁頭
二代志水甚五   市女笠透鐔、宝尽し図鐔
初代西垣勘四郎 猛禽図鐔、窓桐透鐔、蟹図縁頭
二代西垣勘四郎 波に山路縁頭

宮本武蔵      左右なまこ透鐔

三角興次(春信)  鶏図小柄、亀図目貫、鼠図目貫

刀剣一本入札鑑定は平田泰雄講師の丁寧な指導で行われました。
鑑定刀は以下の通りです。

一号刀、 刀   無銘  相州行光 本阿(花押)
二号刀、 短刀 来国光
三号刀、 刀  無銘  長光
四号刀、 刀  肥前国住出羽守行広
五号刀、 短刀  柴田果 (新藤五写し)

成績上位者は
天位 冥賀 亮典氏
地位 今泉 濬氏
人位 宮野 貞司氏となり、各氏に松永廣吉支部長より賞品が授与されました。


観賞会終了後、希望者が靖國神社参拝を行ったのち、会場を変えて懇親会が催さ
れました。
和やかな雰囲気の中で、当支部会員はもちろん、静岡や奈良から出席の他支部の
方々とも親しく交流が出来て、大変有意義な一日となりました。
                            




◆平成二十四年度 第三回研究鑑賞定例会◆
平成24年12月8日(土)
靖國神社 靖國会館にて
◆内容◆ 
刀剣 「会津十一代和泉守兼定」 (外山 登 講師)
刀装具 「私のコレクションベスト15点」 (松永 廣吉 講師)
 
参考刀鑑賞 支部役員出品




会津十一代和泉守兼定
外山 登 講師


外山 登 講師



 

わたしのコレクションベスト15点
松永 廣吉 講師


12月東京都支部定例観賞会報告  冥賀亮典


冬晴れの清々しい12月8日、東京都支部定例鑑賞会は靖国神社靖国会館にて行われました。当日は寒風が吹くなか、多くの会員の方々にお集まりいただきました。

刀剣は「会津十一代和泉守兼定」をテーマに新潟県の外山登氏を講師にお迎えし、
兼定16振と附帯する当時の拵4点をお持ちいただきました。
年代は嘉永七年紀の初期作から明治初年の越後加茂打ちに至り、神社に奉納された珍しい剣などもありました。
兼定の作風は、地鉄は「柾目」「小杢目」「大板目」の3種類に大きく分類され、
刃文は直刃が多く、三本杉、大のたれ、その他に沸の激しい相州伝などがあるそうです。

地鉄と刃文の組み合わせから生まれる多様な作風と、真面目に造り込まれ、初心者にも分かりやすく玄人でも楽しめるポイントなどが兼定の魅力ではないかとのご説明でした。また、今日では兼定の知名度は全国区でありますが、それにはやはり新選組副長:土方歳三の愛刀が兼定であったことも大きく影響しているそうです。

その他に外山氏が収集・研究を始めた経緯、新潟における準郷土刀扱いであること、兼定を加茂に招致した志田家、三河屋についてなどお話しいただきました。
これほど多くの兼定の刀を鑑賞するのは初めてのことでありましたが、技量の高さには感嘆するばかりでその人気にも納得がいきました。

刀装具は「私のコレクション ベスト15点」として松永廣吉支部長に解説いただきました。各々の金工の良い品物を集めているというお言葉通り、金家、信家、安親、後藤一乗、加納夏雄、清寿、彦三、林重光、勝珉、東明、石黒政明、昆寬、利寿、横谷宗珉、初代赤坂といった博物館の展示や書籍のなかでしか見ることのできない名品揃いでした。支部長には各々の金工の作風についての詳細な解説をいただきました。また、鐔はやはり金家・信家が最高峰であり、長年の収集のなかでも学生時代に見た品が奇しくも入手できたことは大いなる喜びであったとお話しいただきました。

今回は鑑定刀がありませんでしたが、東京都支部ではこのような特別鑑賞会も企画しており、これからどのような鑑賞会が行われるのか楽しみです。




第三回研究鑑賞定例会
平成24年9月28日(土)
靖國神社 遊就館にて

◆内容◆ 
初心者講座 「富士山を題材にした鐔」(松永 廣吉 講師)
刀剣 「刃取り研ぎと差し込み研ぎについて」 (藤代 興里 講師)
刀装具 「素銅(素赤)の作品と象嵌について」 (飯山 嘉昌 講師)
 
参考刀鑑賞 支部役員出品




初心者講座「富士山を題材にした鐔」
松永 廣吉 先生



刀剣 研ぎ実演
藤代 龍哉 講師

 


刀剣「刃取り研ぎと差し込み研ぎについて」
藤代 興里 講師




  刀装具「素銅(素赤)の作品と象嵌について」
飯山 嘉昌 講師


 東京都支部・九月定例鑑賞会について  服部 一隆

東京都支部の定例鑑賞会は、9月29日、前回に続き靖国神社遊就館にて行われまし
た。
やや暑さの戻る日和でしたが多数の会員の方にご参加いただきました。

初めに刀装具初心者講座が松永廣吉講師により「富士山を題材にした鐔」をテー
マで行われました。
古来に渡り特別な対象であった富士の抽象化された図案の妙味や、また鉄鐔が中
心であった為見分けや鉄骨の出方の特徴についてもお話頂きました

刀装具鑑賞は「素銅を使った刀装具について」
飯山嘉昌講師に解説して頂きました。
素銅は早くて慶長頃からで貴重な時代もあり他の金属では出せない表現に重用さ
れた点はじめ歴史と並んだ品を交え詳しい説明がなされました。
偏に素銅といってもい真鍮に近い黄みがかった物から朱に近い物もあり
肥後、庄内、後藤、夏雄等様々な素銅を用いた名品二十三点が並びました。

刀剣のテーマは「刃取り研ぎと、差し込み研ぎについて」
藤代興里講師に解説願い、藤代龍哉講師に仕上げの段階の両研ぎの行程を実際に
行なって頂きました。
実演は刀の研ぎを初めてご覧になる方も多く、皆さん大変興味深く見つめながら
刃取り差し込みの相違以外にも沸や匂、映り他研ぎに関する様々な問いを藤代両
先生に質問されていました。

テーマに関連した鑑賞刀は、以下のようでした。
伝群馬県天神山古墳出土直刀(上古刀の一部を、差し込み研ぎ)
伝相州廣正刀 (本阿彌平十郎 明治初年頃 刃取り研磨)
無銘石堂刀  (井上行造 明治四十年 差し込み研ぎ)
備州長船康光脇指 (藤代松雄 昭和六十年頃 差し込み研ぎ)
筑州山王住宗勉刀 (藤代興里 昭和五十八年 表刃取り研ぎ 裏 差し込み研
ぎ)
石田四郎國壽太刀 (藤代興里 平成二十一年 研磨工程を部分毎に再現)
研磨の実際を、様々な参考刀で見比べる事で、より違いが分かりました。
刀の鑑賞に於いて、研ぎの意味合いの大きさをより感じると共に、実演を交えた
解説で大変勉強になりました。また、明治以降と言われた南紀重国の刃取り研ぎ
が安政三年に行われていた写真も、興味深いものでした。

鑑定刀は、現代刀も含めた以下の5振りでした。
一号刀 太刀 銘「吉(次)」青江
二号刀 脇指 銘「備後国住善博作 平成十九年七月三十一日」
三号刀 刀、銘「信濃守国廣」
四号刀 刀、銘「周防国善昭作 平成十四年七夕」
五号刀 刀、銘「筑州住宗勉作 昭和五十三年二月日」

今回はテーマの研ぎも関連して2号刀、4号刀は差し込み研ぎによる作品でした
成績上位の方々は
天位、冥賀亮典氏 宮野貞司氏  
地位、荻野光章氏
人位、竹本福一氏

今回は実演もあり、盛り沢山の内容で話も尽きない中、名残を惜しみつつ16時に
散会となりました。




平成24年6月23日(土)
◆内容◆ 
刀剣  「江戸時代の薩摩刀について」 (平田 泰雄 講師)
刀装具 「佐倉の鍔について」     (柳川 清次 講師)
 
鑑定刀 「平安時代から鎌倉初期の刀」  (冥賀 吉也 講師)
刀装具初心者講座 (松永 廣吉 講師)
参考刀鑑賞 支部役員出品




江戸時代の薩摩刀について
平田 泰雄 先生


佐倉の鍔について
柳川 清次 講師

 


刀装具初心者講座
松永 廣吉 講師




  平安時代から鎌倉初期の刀
冥賀 吉也 講師


東京都支部・六月定例鑑賞会について  荻野光章

東京都支部の定例鑑賞会は、6月23日、今回より会場を靖国神社遊就館に移し開催されました。
当日は天候にも恵まれ多数の会員が参集いたしました。


一時から「刀装具の初心者講座」が開催され、松永廣吉講師により、兎角専門がちになりやすい解説を、
初心者にわかりやすいように行われました。

解説のなかでは、肥後鍔は出来上がり時には、表裏透き漆が施されていた等、面白いお話が伺えました。


刀剣は「江戸時代の薩摩刀について」2時より平田泰雄講師により行われました。

正房に始まる薩摩新刀は主水正正清・一平安代を経て大和守元平・伯耆守正幸に至るが、

薩摩刀は終始独特の特徴を有していたこと等を解説していただきました。


刀装具は「佐倉の鍔について」2時40分より柳川清次講師により行われました。

佐倉の地は代々将軍側近の支配地としての特異性を有していた等、鍔工では正次・正勝が揚げられるが、
この人たちの鍔は制作年代が特定出来、鍔工としては大変珍しい事である等大変貴重なお話しを伺いました。


鑑定刀のテーマは「平安時代から鎌倉初期の刀」として、冥賀吉也講師により3時より解説が行われました。
当日の鑑定刀は、以下の6振りでした。


1号刀、太刀、銘「豊後国行平」

2号刀、太刀、銘「近村」

3号刀、太刀、銘「守次」

4号刀、太刀、銘「正恒」

5号刀、太刀、銘「信包」

6号刀、太刀、隅谷正峯の大包平写し


講師より、この当時の刀の鑑定の難しさ、鑑定刀をみてこの時代の刀は、こういうものであると
覚えるしかないものであると、また裏銘のあるものとして、最古のものは、平治元年の行正、元久2年の行平、
嘉禎3年の友成の以上3振りしかなく貴重な存在であることなどでした。


普段は中々手に取って看る事の出来ない、平安鎌倉期の刀を拝見させていただき、

貴重な体験となります。当日は1本入札で、成績上位者は以下8氏でした。


天位、田中博之氏、阪井美徳氏、藤代龍哉氏、坂田哲之氏

地位、椎名悦二氏、對馬一徳氏、
人位、松本啓之亮氏、小高康邦氏


次回は、靖国神社遊就館にて、9月29日(土)12時半より開催予定です。
刀装具は「素銅を使った刀装具について」、刀剣は「刃取り研ぎと差し込み研ぎについて」を予定しています。

支部会員だけでなく、他支部の会員も御参集をお待ちしています。



平成二十四年度 第一回研究鑑賞定例会
平成24428()
内容 
刀剣一本入札鑑定  (本部 石井 先生)
刀剣 「室町期の美濃物を中心として」 (藤代 興里 講師)
刀装具 「刀装具の造り込みについて」 (萩原 守 講師) 
刀装具初心者講座 (松永 廣吉 講師)
参考刀鑑賞 支部役員出品


一本入札鑑定
石井 彰 先生


刀剣鑑賞
藤代 興里 講師


刀装具鑑賞
萩原 講師


刀装具初心者講座
松永 廣吉 講師



 東京都支部四月定例鑑賞会報告   藤田裕介


 新緑の候、太陽が日毎に見え隠れする慌ただしい天候が続く中、
四月二十八日新宿京王プラザ本館42階富士の間にて東京都支部定例鑑賞研究会が行われました。


今回一本入札鑑定は五振り、講師は本部の石井彰先生にお願いいたしました。
一号刀 短刀 信国
二号刀 刀  相州住綱廣
三号刀 刀  国廣
四号刀 太刀 正恒(古備前)
五号刀 脇指(薙刀直し) 真利(備中)

今回は成績優秀者が多数おられたため、その中で高得点者の方のみ発表させて頂きます。

高得点者―浅海修氏、椎名悦三氏、二階堂克弥氏、藤代龍哉氏、真木堂智氏、
松本啓之亮氏、宮野貞司氏、渡辺英男氏


 鑑賞刀は「室町期の美濃物を中心として」というテーマで講師は藤代興里先生にお願いしました。
室町時代は、太刀から刀への転換期から始まり、古刀から新刀への転換期で終わること。
この時代に栄えた備前と美濃の二大生産地のうち、美濃が新刀の作風を生み出していったことなどを、
自作の刀工年表を活用しながら解説していただきました。
作例として、兼定・兼常・兼房・兼貞・兼法・兼先・また志賀関兼延の七刀工・十二振の名品が並びました。

 刀装具は「刀装具の造り込みについて」萩原守先生に講義をお願いしました。
後藤祐乗をはじめとした名品がずらりと並び、わかり易く丁寧に解説していただきました。
小柄の地彫と地板嵌め込み見分けが出来ることで時代をある程度特定することが出来るということや、
小柄裏の造り込みに「裏板金」「裏哺金」の他に「裏板殺継(そげつぎ)」という
なかなか聞き慣れない造り込みまで丁寧に解説していただきました。
他には室町後期までの目貫にしか見られない陰陽根(二つ根)に切欠付という
古く珍しい名品についても解説して下さいました。

 また別室では松永廣吉先生により刀装具初心者講座も行われ「肥後鐔の変遷」として
御自身所蔵の名品を実際に手に取らせていただきながら、平田彦三の造り込みの特徴と見分け方、
その後西垣勘四郎や志水甚吾に影響を与えていく肥後鐔の流れを解説して下さいました。
なかなか普段お目にかかれない名品揃いだったため、皆さん講義後も松永先生を取り囲み
熱心に質問しとても有意義な勉強会となりました。

 今回も東京都支部以外の他支部の方も参加していただき非常に賑わった定例会となりました。
今後も他支部のみならず若年層や新規加入者が増えより活気のある東京都支部会になっていくことを切に願っております。



◆平成二十三年度 第五回研究鑑賞定例会◆
~研究鑑賞定例会・新年懇親会~
平成24年1月28日(土)
◆内容◆ 
刀剣一本入札鑑定  (飯田 俊久 先生)
刀剣 「龍の彫物のある刀剣」 (平田 泰雄 講師)
刀装具 「石黒・大森一派と津尋甫奈良三作」 (園 平治 講師)
 
刀剣初心者講座 (松永 廣吉 講師)
参考刀鑑賞 支部役員出品





一本入札鑑定
飯田 俊久 先生



刀剣鑑賞
平田 康男 講師

 


刀装具鑑賞
平治 講師




  新年懇親会にて支部長ご挨拶
立浪 日郎 東京都支部長


 
 新年定例鑑賞会  東京都支部 齋藤恒


今年は例年にない寒さが続く中、新年定例鑑賞会が一月二十八日に総勢七十九名の会員が出席し、
京王プラザホテルにおいて開催されました。鑑定刀は本部より飯田俊久講師をお迎えし、
各刀工の特徴などを解説いただきました。

1号刀 太刀 宗吉 (古一文字)

2号刀  刀 長幸於摂津国作之
       以播州完栗鋼鉄作之

3号刀  刀 主水正藤原正清

4号刀 短刀 備州長船兼光
       延○五年三月日

5号刀  刀 辻村越中守藤原高平花押
       元和八年三月三日


尚、入札結果は以下の通りでした。

天位
中村和人氏 会田攻氏 宮野貞司氏 真木堂智氏

地位
竹本福一氏

人位
松本啓之助氏 塚原大作氏 棚橋和明氏 冥賀亮典氏

次席
二階堂克弥氏 喜多山巌氏 菰田照彦氏 高橋孝氏


鑑賞刀は平田泰雄講師による龍の彫物のある刀剣と題し、鎌倉期の短刀より現代刀までの15振りが並び、
龍の彫物の由来、意味など丁寧な解説をいただきました。

刀装具においては園平治講師により石黒、大森一派と津尋甫が30数点並び、
花鳥風月、獅子など新年に相応しい華やかな名品の特徴を解説いただきました。

別室にて松永廣吉講師による刀装具初心者講座も懇切丁寧な解説により大変好評でした。
これらのことが普及啓蒙に大きな役割をはたし、一人でも多くの愛好家が増えることを心から望んでおります。

定例鑑賞会終了後は新年懇親会が開かれ、立浪日郎支部長より新年のご挨拶から始まりました。
乾杯に引き続き、参加者の方々から東京都支部の刀装具講座や参考刀の充実への謝意の言葉もいただき、
終始和やかなうちに閉会となりました。




◆平成二十三年度 第四回研究鑑賞定例会◆
平成23年12月3日(土)
◆内容◆ 
刀剣一本入札鑑定  (冥賀 吉也 講師)
鑑賞刀 「太刀と刀 ~鎌倉期の太刀姿の美~」 (平田 泰雄 講師)
刀装具 「目貫について ~表目貫と裏目貫について~」 (飯山 嘉昌 講師)
 
刀剣初心者講座 (松永 廣吉 講師)
参考刀鑑賞 支部役員出品





一本入札鑑定
冥賀 吉也
講師



刀剣鑑賞
平田 康男 講師

 

 
刀装具鑑賞
飯山 嘉昌 講師




  初心者講座
松永 廣吉 講師


 十二月東京都支部定例観賞会レポート    川島香奈子    


 例年より暖かな十一月が去り、ようやく冬の足音が聞こえてきた十二月三日、
新宿京王プラザホテルにて東京都支部定例鑑賞会が行われました。
当日は、あいにくの雨でしたが六十一名もの方々が参加されました。

 今回の鑑賞刀のテーマは『鎌倉期の太刀姿の美』平田泰雄講師に解説をしていただきました。
豊後国行平・是介(古青江)・正恒(古備前)・基近造(古備前)・真利(福岡一文字)など、
計十三振の鎌倉期の生ぶの姿を今に残す素晴らしい御刀が展示されました。
約八百年もの間、姿を変えずに美しく輝き続ける日本刀を手にすると、
その歴史の重みとロマンが伝わってきて、女性の私でさえ心が揺さぶられる思いがします。
 
 刀装具のテーマは『表目貫と裏目貫について』飯山講師に解説をしていただきました。
画題が動物の場合、雄が表で雌が裏、人物の場合は、師匠(偉い方)が表で弟子が裏になる事など、
力の込もった解説でとても勉強になりました。
柳川直春(三福神)・春明(割際端銘)裏銘 十方翁・祐乗(かまきり)宗珉(一輪牡丹)など
計三十二点が並びました。

鑑定刀

一号刀 助次(古青江)
二号刀 相州住廣正  
三号刀 繁慶
四号刀 粟田口近江守忠綱
五号刀 山浦真雄

入札鑑定の成績上位者は次の方々です。

天位 会田次氏 藤代龍哉氏 宮野貞司氏 渡邉英男氏
地位 井上聡氏
人位 真木堂智氏 中村和人氏 荻野光章氏
勉強の為私も入札してみましたが、なかなかずばりと当てる事が出来ませんでした。
いつか天位が取れる様に沢山いい刀を見て勉強したいと思います。



◆第三回研究鑑賞定例会◆
平成23年9月3日(土)
◆内容◆ 
刀剣一本入札鑑定  (本部 石井 彰 講師)
鑑賞刀 「近代の刀剣」 (藤代 興里 講師)
刀装具 「お江戸の刀装具」 (新井 康男 講師)
 
刀剣初心者講座 (松永 廣吉 講師)
参考刀鑑賞 支部役員出品



一本入札鑑定
本部 石井 彰
講師


 刀装具鑑賞
新井 康男 講師



  初心者講座
松永 廣吉 講師



東京都支部定例観賞会レポート        遠山 光

9月3日、厳しい残暑の中、東京都支部の定例観賞会が 新宿は京王プラザホテルにて開催されました。 この日は台風12号が中国四国地方に上陸、東京もかなり不安定な天候となり
交通機関の一部にも影響が出たようでした。
被災された地域の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

一本入札鑑定刀五口、今回の講師は本部の石井彰先生にお願いしました。

一号刀 真景(古伯耆)太刀  大原真景の生ぶ茎在銘。
腰で反り、先にも少し反りを残す藤末鎌初の太刀姿。
板目鍛え肌立ち、黒みがかる。直調に沸え付いた小互の目交え小模様に乱れる。
焼き落としあり。帽子、駆け出し心。

二号刀 武蔵大掾藤原是一 刀 
元先で幅差少なく、反りがやや付く。小板目が柾に流れ、乱れ映り立つ。
互の目丁子に尖り刃交え、総体に逆がかる。
飛び焼き交え、もの打ちで焼きが高くなる。帽子、直ぐに小丸。

三号刀 保弘(備前長船)太刀 
腰反り付き中切先やや詰まる。板目に乱れ映り立つ。
直調に小互の目、小丁子交え小模様に乱れる。小沸え出来。
表裏に棒樋丸留め。

四号刀 越後守藤原国儔 刀 
反り浅く元先で幅差付かず中切先。小板目よく詰み地景入る。冴えた地鉄。
小湾れに末関風の小互の目を交える。小沸え出来。
帽子直ぐで小丸、返りが長い。

五号刀 守家(畠田)短刀 
身幅、重ね共に尋常。反り無し。
杢を交えた板目、やや流れ心。乱れ映り立つ。
焼きの高さが揃い、箱がかった互の目に片落ち互の目。

今回は四号刀で迷われた方が多いようでした。
三星位は次の皆様が入賞されました。
天位は宮野貞司様、地位が中村和人様・会田工様、人位が藤代龍哉様・阿部聡一郎様。

都支部では鑑定刀の他にテーマを設けた観賞刀が十口以上用意されます。
それだけで大変贅沢な、濃い内容となっています。
今回は「近代の刀剣」をテーマに十八口並びました。
講師は藤代興里氏が担当されました。
帝室技芸員月山貞一や貞勝、龍王子源貞次、羽山円真、堀井秀明、今泉俊光、栗原彦三郎
昭秀、起正、果、等の他、靖徳、靖光、等の靖国刀匠の作品も並びました。
配付された「近代の刀剣 略年表」に、伊勢神宮の式年遷宮を軸として、 靖国神社も大きく関わってきたとされていました。 また、身幅の細い指揮刀様式の刀剣が、この時代独特のものとの説明があり、 作例を出品作で紹介されました。 この時代の刀剣は、普段の観賞会ではなかなか拝見する機会がありません。 靖国刀に代表されるように、この時期の日本刀もきちんと評価されるようになって欲しいと思いました。

刀装具のテーマは「お江戸の刀装具」講師は新井康男氏にお願いしました。
菊岡光行、岩本昆寛、如竹、津尋甫、藤原清寿、加納夏雄、海野勝珉、香川勝広、後藤一
乗、浜野政随、横谷宗興、柳川直政、柳川直春、大森英秀、石黒政明、田辺伴正、等が並びました。

協会が年末に発売しているカレンダーに所載されたものも何点か含まれていました。 普段は見ることのできない実物を、直接拝見出来るという大変貴重な機会でした。

今回は別室で刀装具の初心者講座も開かれました。こちらは松永廣吉氏が担当され、 鐔の起源についてから、古刀匠と古甲冑師の鍔の作品を手にしながら、盛んな質疑応答が続きました。

会は四時頃には終了。
入札で熱くなった頭を冷やしに居酒屋反省会に向かう者、馴染みの刀剣店に観賞の続きに
向かう者、それぞれ会の余韻を楽しみながら会場を後にします。
東京都支部の観賞会には関東近県にお住まいの方はもちろん、遠く関西や東海地方などか
らも毎回熱心な方たちが参加されています。交流を深める意味でも良いことだと思います。
今後はさらに若い世代や女性の参加者が増えるよう願っています。
次回の定例観賞会は12月3日となっております。どうぞ他支部の方、また支部に入って
いらっしゃらない方もお気軽に足をお運びください。



第二回研究鑑賞定例会
平成23年6月25日(土)
◆内容◆ 
刀剣一本入札鑑定  (本部 日野原 大 講師)
鑑賞刀 「短刀」
刀装具 「黄金の刀装具」 (萩原 守 講師)
 
参考刀鑑賞 支部役員出品

刀剣初心者講座



刀装具鑑賞 『黄金の刀装具
萩原 守
講師


 一本入札鑑定 及び 短刀について
日野原 大 講師
 



 六月東京都支部 定例鑑賞会
                           服部 一隆


六月としては稀に見る暑さの続く六月二十五日、
東京都支部定例鑑賞会は新宿京王プラザホテル47階あおぞらの間にて行われました。
雲も多く蒸す日和ではありましたが六十三名の方々にご参加いただきました。

今回のテーマは「短刀」という事で協会本部より日野原大講師をお迎えし、
鑑定刀もテーマに沿った五振りでの一本入札となりました。

鑑定刀

一号刀 短刀 吉光(粟田口)
二号刀 短刀 来国光
三号刀 脇指 長谷部国重
四号刀 短刀 兼友(直江志津)
五号刀 脇指 信国

時代順に並べられ、粟田口の久国や新藤五国光との微妙な差異をはじめ、
それぞれの短刀についての細かな解説がなされ、
短い中に凝縮されたそれぞれの違いが大変勉強になりました。

今回は皆様良い成績の方が多くいらっしゃいました。
優秀な成績を修められた方は

喜多山巌氏 真木堂智氏 藤野工氏
塚原大作氏 冥賀亮典氏 中村和人氏
荻野光章氏 平田泰雄氏

鑑賞刀も見所の多い品々が二十振り並び、大変見応えのある鑑賞会となりました。

鑑賞刀
長光、行光、備中妹尾安(以下切)、大和尻懸住則長、大和国住吉光、
来国光、国安(延寿)、筑州左、兼光、中島来、安吉、長谷部国平、
信国、兼定、法光、祐定、兼道、兼法、栗原信秀、靖徳

刀装具の部は「黄金の刀装具」という華やかなテーマで、
萩原守講師に御解説を頂きました。
古金工から後藤覚乗そして幕末の夏雄に至る十八点の名品が並び
実際に装金と金無垢の小柄を手にとってその重量の違いを感じさせて頂く事も出きました。
また支倉常長が遣欧使節時に着用していた物と同形式の鐔もあり、
西欧の人々も素材としての金と共にこれらに施された日本の精美な技術に
黄金の国を見たのではと思いに至りました。

他にも初心者の方を中心にお集まり頂き、藤代興里講師による初心者講座も行われました。
今回は、実際に刃文を筆写する事でより深く刃中を見る目を養おうという内容で、
普段の鑑賞とは違った発見のあった方が多かったようです。
こうして新たに興味をもって頂ける方が増えていくのは大変喜ばしく思います。

暑さも忘れる会も名残り惜しみながら午後四時散会となりました。

次回は9月3日1時から、新宿京王プラザホテルで開催いたします。
入札鑑定には本部講師をお願いし、鑑賞刀は「近世の刀剣」を課題とし、刀装具は
「お江戸の刀装具」


第一回研究鑑賞定例会
平成23年4月23日(土)
◆内容◆ 
刀剣鑑賞 『江戸新刀と大坂新刀について』 (平田 泰雄 講師)
刀装具鑑賞 『尾張と肥後鐔について』 (松永 廣吉 講師)
刀剣一本入札鑑定

参考刀鑑賞 支部役員出品



刀装具鑑賞 『尾張と肥後鐔について
松永 廣吉
講師


 刀剣鑑賞  『江戸新刀と大坂新刀について』
平田 泰雄 講師
 



 四月東京都支部 定例鑑賞会
                       川島 香奈子

  この度、東日本大震災により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い皆様の御立ち直りと災害からの復旧と復興を心からお祈り申し上げます。

 冬の寒さもようやく遠のいた四月二十三日、新宿京王プラザホテルにて東京都
支部定例鑑賞会が行われました。当日は、あいにくの強い雨と風の中、約五十名
の方々が参加されました。

 今回の鑑賞刀のテーマは「大坂新刀と江戸新刀」で、鑑賞刀として江戸新刀の
初代康継、繁慶、長曾祢虎徹、法城寺貞国、大坂新刀の越前守助広、越後守包貞、
多々良長幸、一竿子忠綱など計十五振が並びました。
平田泰雄講師の解説で、寛永から元禄までの時代背景の説明と共に、大坂新刀と
江戸新刀の特徴について講義して頂きました。

 刀装具の方は、松永廣吉講師の解説で、京透鐔と赤坂鐔の特徴やその違い、時代の見極
め方や沢山良い物をみて比較対照する事の大切さなど、熱のこもった講義で
とても有意義な時間となりました。尾張鐔 四点、平田彦三 五点、後代甚吾 三点など
計三十九点もの素晴らしい鐔が並びました。

鑑定刀
一号刀 (金象眼)長谷部国重 本阿(花押) 黒田筑前守 
        写 貞弘作 昭和戊午年中秋吉日
二号刀 備州長船康光
三号刀 和泉守藤原兼重
四号刀 和泉守藤原国貞
五号刀 井上真改

 鑑定刀について平田講師より解説をして頂き、解説をふまえた上で再度鑑賞する
事で大変勉強になりました。

尚、入札結果は、
天位 冥賀亮典氏、緒方嘉隆氏
地位 藤代龍哉氏
人位 宮野貞司氏でした。

 今回参加された約五十名の内、女性の参加者は私を含め三名でした。
やはり、圧倒的に男性が多いこの刀剣の世界で、少しでも興味のある女性の方々を増やし、
この様な素晴らしい鑑賞会の場に足を運んで頂ける様になればと思います。



◆平成22年度鑑賞会・研究会◆


◆第四回研究鑑賞定例会◆
平成23年1月29日(土)
◆内容◆ 
刀装具鑑賞 『奈良三作 安親・利寿・乗意について』 (園 平治 講師)
刀剣鑑賞 『肥前刀について』 (飯田 俊久 講師)
刀剣一本入札鑑定

参考刀鑑賞 支部役員出品





刀装具鑑賞 『奈良三作 安親・利寿・乗意について』
園 平治
講師



 刀剣鑑賞  『肥前刀について』
飯田 俊久 講師
 



一月東京都支部定例鑑賞会    東京都支部 大平将広

当支部の新年定例鑑賞会は協会本部より飯田俊久講師をお迎えし、
1月29日に新宿京王プラザホテル本館42階・高尾の間に於いて
12時半から開催しました。16時半からは懇親会を扇の間にて開催しました。
寒さも深まる中、73名もの会員の方々にご参加頂きました。
刀装具解説は園平治講師で、テーマは「奈良三作、安親・利寿・乗意」でした。

現在、国宝・重文・重美になっている奈良三作の刀装具は、
安親20点、利寿6点、乗意5点の計31点と指定品が多く、
大変高く評価されています。

今回並んだ作品は、
安親は鐔が6点(内 重美3点)、小柄が6点、縁頭及び縁のみが10点、
目貫が1点の計23点。
利寿は縁頭が8点、目貫が1点の計9点。
乗意は鐔が1点、小柄が4点(内 重美3点)、縁頭等2点の計7点。
総計で39点もの刀装具が並びました。

奈良三作の始まり、三者の生まれから晩年に至るまでまでの活躍、
作品の見所や特徴などを細かくご解説頂き、大変参考になりました。
また作品を鑑賞する際には、銘や箱書き等々にとらわれず、
作柄を見極めた上で感性と個性を磨いて欲しいとご教示頂きました。

今回の鑑定刀は次の五振でした。
1、刀  大慶荘司直胤(花押)
      文化八年仲秋
2、短刀 兼先
3、刀  上総介兼重
      (金象嵌裁断銘)
4、太刀 備州長船兼光
5、刀  肥前国忠吉


鑑定刀解説は飯田講師により、各刀の特徴と類似刀工との相違点などを細かく解説して頂きました。
新年一本入札ということで、賞品として吉原義人刀匠による肥後・尾張・金山の雛鐔と
文鎮を3点、及び佐野美術館での「戦国武将のよそおい」展の図録10冊が贈呈されました。

成績上位入賞者は順位順に、荻野光章・真木堂智・菰田照彦・宮野貞司・塚原大作・中村
和人の各氏でした。

今回の鑑賞刀は「肥前刀」をテーマに、忠吉の初代から七代を除く九代までと正廣等、
また宗次・宗安を中心に、刀十一振、脇差二振の計十三振が並びました。
肥前刀の移り変わりが大変わかりやすく、また沸の明るさ、地鉄の潤いの比較研究ができる
またとない機会となりました。

次回鑑賞会は新宿京王プラザにて4月23日(土)午後12時半から、
研究テーマは、「江戸新刀と大坂新刀について」「尾張と肥後鐔について」を予定しています。
他支部の方々も奮ってご参加下さい。



◆第四回研究鑑賞定例会◆
平成22年11月20日(土)
◆内容◆ 
刀剣鑑賞 『現代刀』 (吉原 義人 講師)
刀装具鑑賞 『鮫鞘を中心とした変わり塗鞘のいろいろ』 (飯山 嘉昌 講師)
一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品





 刀剣鑑賞 土置き実演 : 吉原義人講師 



 刀装具鑑賞(鮫鞘・変わり鞘) : 飯山嘉昌講師 



十一月東京都支部定例鑑賞会     東京都支部 藤田裕介


秋も深まり、徐々に冬の足音が聞こえてきそうな十一月二十日新宿京王プラザホテル
3階グレースルームにて東京都支部定例鑑賞会が行われました。

今回の鑑賞刀のテーマは「現代刀」。人間国宝の月山貞一、高橋貞次、宮入昭平、
隅谷正峯、大隅俊平をはじめ現代刀匠の作品計十八点が展示されました。

鑑賞刀 
月山貞一、高橋貞次、宮入昭平、隅谷正峯、大隅俊平、柴田果、今泉俊光、河内国平、
吉原義人、吉原國家、大久保和平、大野義光、宮入法広、杉田善昭、松田次泰、十三代盛高

そして吉原義人刀匠にお越しいただき“土置き実演”をしていただきました。
普段な かなか見ることの出来ない土置きの技術、焼入れのまでの工程を解説を加えながら
事細かに講義していただけるとあって会員の方々も皆食い入るように見入っていました。
今回は一文字風の丁子の刃文を作るにあたり、焼刃土を薄塗りする箇所と厚塗りする
箇所で焼きに差を出す方法や、足の入れ方により丁子の現れ方の違いを実演していただき、
会員の方々も数多くの質問を投げかけ、吉原刀匠もその質問の一つ一つに丁寧に答えて
いただくことでとても熱のこもった講義になりました。

刀装具のほうは今回「鮫鞘を中心とした変わり塗鞘のいろいろ」と題しまして講師に
飯山嘉昌氏を招き、鮫鞘のほか蛇鞘、卵殻鞘等計十二点の鞘に蝶鮫、藍鮫等実物の鮫皮
計八点を展示していただきました。講義では用意していただいた資料と併せて鮫鞘 の種類、
鮫鞘を作る工程や時代経年による梅花皮の色の変化等わかり易く解説してい ただきました。
こちらも普段なかなか聞くことの出来ない講義とあって皆さん熱心に聞き、質問も交え非常
に充実した講義になりました。


入札鑑定では藤代興里講師の解説で各刀の見所や特徴を、また類似刀工の見分け方など細かく
丁寧に解説していただきました。青江吉次の筋映り、兼延の繰り返し刃文、 宗勉の清麿写しの
見分け方など解説後も再度鑑賞することで大いに勉強になりました。

鑑定刀  
一号刀 短刀 長船長光 
二号刀 太刀 青江吉次
三号刀 刀  志賀関兼延
四号刀 脇指 長曽祢興里 
五号刀 刀  筑州住宗勉

今回の鑑賞会は普段と一風変わったテーマの鑑賞会だったのでとても新鮮でまた大変勉強になり
有意義な時間を過ごすことができました。

なお、入札結果は、
天位 冥賀亮典氏 
地位 宮野貞司氏 
人位 真木堂智氏でした。

次回は新年一月二十九日(土)、同じく新宿京王プラザホテルにて、
刀剣は「肥前刀について」をテーマに、刀装具は「奈良三作 安親・利寿・乗意について」
をテーマに行う予定です。他支部の方々も奮ってご参加下さい。



◆第三回研究鑑賞定例会◆
平成22年9月18日(土)
◆内容◆ 
刀剣鑑賞 『鎌倉時代の刀剣』 (冥賀 吉也 講師)
刀装具鑑賞 『後藤家初代から十六代の小柄』 (松永 廣吉 講師)
一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品





刀装具鑑賞



鑑賞刀研究



 刀装具鑑賞と解説 (松永 廣吉 講師) 



一本入札鑑定と解説 (冥賀 吉也 講師)




九月定例研究鑑賞会    東京都支部  高橋 孝  

猛暑がようやく落ち着いた9月18日(土)
京王プラザホテルにて東京都支部定例鑑定会・鑑賞会が開催されました。

今回のテーマは鎌倉時代の日本刀という事で、支部の方々にお骨折り頂き、
鎌倉初期・中期・後期まで150年間の時代に亘り14振り出品されました。

講師には平田泰雄氏にお骨折り頂き、各々の時代の特徴について姿、地鉄、刃文等に関して説明がなされ、
作刀風(古備前・古青江)が違ってもある程度共通する点がある等、非常に解り易い内容でありました。

鑑賞刀
正恒、清綱(二王)、遠政(古備前)、貞真(古一文字)、是介(古青江)信正(古一文字)
来国俊、助次(古青江)、守家、景光、了戒、真守、助国(国分寺)、景政

鑑定刀は講師を冥賀吉也氏に御願いし、一本入札としました。
1号より5号まで全て肥前の初代忠吉で、非常に難しい入札となりました。

氏の解説に依ると、「初期の秀岸銘時代は鎬が高く、古刀の雰囲気を残した作風が見られ、
中期の五字忠吉、住人時代の直刃は、然たる直刃は少なく、必ず浅くのたれ、喰違刃、二重刃等が加わり古雅な味わいとなり、
後期の武蔵大掾忠広銘時代は、肥前刀然とした広直刃、足長丁子、互の目乱等の作風に変化する」等の説明がありました。

鑑定刀及び三星は、以下の通りです。

1号 刀  肥前国忠吉(秀岸銘)(慶長7~8年頃) 
2号 刀  肥前国忠吉     (慶長18年頃) 
3号 刀  肥前国忠吉     (慶長20年頃)
4号 刀  忠吉作       (元和5年頃) 
5号 脇差 武蔵大掾忠広    (寛永6年頃) 

天位 鈴木光寿氏
地位 中村和人氏、梅野勉氏、坂田哲之氏、高橋孝氏
人位 宮野貞司氏

刀装具鑑賞のテーマは後藤家初代から十六代迄について、松永廣吉氏より解説がありました。

今回の出品は、小柄でほとんどが裏が哺金のもので
自身銘、極め銘、等の銘の位置、本花押、略式花押、極め鏨の詳細に渡る説明があり、非常に勉強になりました。

次回は、刀剣は「現代刀」、刀装具は「鮫鞘を中心に変わり塗鞘のいろいろ」を
課題とし11月20日(土)新宿京王プラザホテルで開催予定です。他支部の方もぜひ御参加くださいませ。


◆第二回研究鑑賞定例会◆
平成22年6月26日(土)
◆内容◆  
刀装具鑑賞 『後藤一乗』 (萩原 守 講師)
刀剣鑑賞 『南北朝時代』 (平田 泰雄 講師)
一本入札鑑定 (日野原 大 講師)
参考刀鑑賞 支部役員出品



鑑賞刀研究


一本入札鑑定と解説 (日野原 大 講師)

 
 刀装具鑑賞: 後藤一乗について (萩原 守 講師) 


 刀剣鑑賞: 南北朝室の刀剣について (平田 泰雄 講師) 



六月定例研究鑑賞会 東京都支部  藤野工

梅雨空の6月26日(土)、新宿京王プラザホテルにて支部定例研究鑑賞会が開催され、
75名が参集しました。今回より会員の皆様には刀剣並びに刀装具を大切に扱うことを
目的に、マスクを着用して鑑賞していただくことを試みました。

本部から日野原大講師をお招きして、一本入札鑑定刀をお願いいたしました。
今回の鑑賞刀のテーマが「南北朝時代の刀剣」でしたので、先生の特別の御配慮により、
鑑定刀すべてが南北朝の備前の刀剣でした。
解説の中で、約60年間の中でも初期・中期・後期によって姿が変化することが解り、
非常に勉強になりました。

鑑定刀及び三星は、以下の通りです。

1号 太刀  備州長船兼光
2号 刀   無銘 兼光
3号 刀 金象嵌銘 盛景
4号 太刀  備州長船師光 永和二年六月日
5号 太刀  備州長船次行 (小反り)

天位 宮野貞司氏、塚原大作氏
地位 喜多山巌氏
人位 冥賀亮典氏、菰田照彦氏、中村和人氏


刀剣鑑賞は、「南北朝時代」をテーマに13振りが一堂に並びました。
平田泰雄講師より南北朝時代の世相・作風の変遷・見どころなどについて
講師作成の配布資料を元に丁寧な解説がありました。


鑑賞刀
太刀 来国次、刀 無銘 伝大和志津、刀 折返銘 重真、太刀 額銘 兼光、
刀 無銘 元重、小脇差 青江次吉、短刀 長谷部国重、刀 金象嵌銘 志津、
刀 無銘 伝大宮、刀 無銘 伝末左、刀 無銘 伝高木貞宗、
小太刀 青江貞次、短刀 大宮盛景

刀装具鑑賞のテーマは、萩原守講師により後藤一乗の名品が出品されました。
光行・光代・法眼一乗・法橋一乗・伯応・凸凹山人等々の銘が入った作が出品され、
特に、一乗銘の中でも「乗」の字によって年代が区別できることが非常に勉強に
なりました。

次回は9月18日(土)新宿京王プラザホテルにて行います。
刀剣のテーマは「鎌倉時代の刀剣」を、刀装具は松永廣吉講師により
「後藤家初代から十六代の小柄」を予定しています。
他支部の方もぜひ御参加くださいませ。



◆第一回研究鑑賞定例会◆
平成22年4月17日(土)
◆内容◆  
室町期の備前刀について (平田泰雄 講師)
田辺伴正とその一門 (山田 等 講師)
一本入札鑑定
参考刀鑑賞 支部役員出品



刀剣鑑賞: 室町期の備前刀について (平田 泰雄 講師)


刀装具鑑賞:田辺伴正とその一門  (山田 等 講師)



 4月定例鑑賞会       東京都支部  藤野 工

4月に入ったとはいえ、気温が10℃前後という日が続いた4月17日、
新宿京王プラザホテル42階高尾の間にて、東京支部定例研究鑑賞会を開催いたしました。

刀装具鑑賞のテーマは山田等講師による「田辺伴正とその一門」でした。
山田講師のコレクション田辺伴正の小柄・目貫・縁頭8点を中心に、
師匠である柳川直春の目貫・縁頭、田辺明伴の小柄、河野春明の縁頭3点、
大石明親の縁頭、古川常珍の小柄、横谷宗與の縁頭、後藤栄乗の目貫、
合計20点が一堂に展示されました。
講師の数多く所有されている伴正のコレクションによって明らかになった
伴正初代と伴正2代の“田”の鏨の入れ方の違いによる見分け方、
獅子の図の彫が後藤家の彫に似ている点などを説明されました。

刀剣鑑賞は「室町時代の備前刀」をテーマに、
平田泰雄講師より“太刀から刀への変遷”、“長船鍛冶の繁栄”、
“応永、永享、前期末備前、後期末備前のそれぞれの特徴と見分け方”の説明がありました。
鑑定刀、鑑賞刀ともに室町時代の長船派の刀が一堂に18振並びました。
応永年間から天正年間の約190年の間の
長船派の俗名入り・注文打ちの刀が数多く取り揃えられ、
この時代の備前刀(とりわけ長船派という刀剣界史上最も栄えた刀工集団)
を研究する上では、又と無い機会だったのではないでしょうか。
このように充実した研究会を行うにあたって協力していただいた各方面の方々に
厚く御礼申し上げます。

鑑定刀
1号刀 刀 盛光(応永2年紀)
2号刀 太刀 康永
3号刀 刀 祐光(寛正3年紀、六郎左衛門尉)
4号刀 刀 勝光・宗光 (文明18年紀、草壁打ち)
5号刀 刀 法光(永正10年紀)
6号刀 刀 祐定(天正4年紀、七郎右衛門尉)

天位 飯田慶雄氏、菰田照彦氏
地位 冥賀亮典氏
人位 塚原大作氏、喜多山巌氏

次回は6月26日(土)新宿京王プラザホテルにて午後1時から、
刀剣は南北朝の刀剣をテーマとし、刀装具は萩原講師を予定していますので、
他支部の方々も御参加くださいませ



◆平成21年度鑑賞会・研究会◆

◆第五回研究鑑賞定例会◆
平成22年1月30日(土)
◆内容◆  
虎徹の作品について
◆一本入札鑑定 (本部講師: 飯田 俊久 講師)
◆刀装具『京都金工』 一乗およびその一門はのぞく (園 平治 講師)

参考刀鑑賞 支部役員出品



立浪支部長による新年の挨拶


刀装具の解説  園 平治 講師


一本入札鑑定  飯田 俊久 講師


一月定例鑑賞会       東京都支部 荻野光章

東京都支部新年の定例鑑賞会は、一月三十日 新宿京王プラザホテル四十七階あさひの間に於いて、
午後一時より開催されました。当日は天候にも恵まれ、多くの会員が参集されました。

会場にはお正月恒例の一本入札の鑑定刀が五振、
鑑賞刀には前回予告の寅年に因んでとして虎徹の刀・脇差が十四振出品されました。
刀装具は京都金工を中心に(後藤一乗一門を除く)のテーマの元に、理忠明寿の寿斎に始まり、
大月光興・光弘・光林・皆山応起・松尾月山・篤興・秀国・秀興・松下亭・鉄元堂・京金具師等、
鍔十九点、小柄十四点、縁頭七点、目貫六点の計四十六点が華やかに展示されました。

鑑賞会は、立浪支部長の新年のご挨拶により始まり、
その後、園平治講師より刀装具の解説が展示品にそって見所が特徴など、わかりやすく説明していただきました。
鑑賞刀の内訳は、太刀一振、刀四振、脇差九振の計十四振が制作年代順に並べられ、寛文二年頃より延宝二年頃迄と、
虎徹の初期作より晩年作までの代表的作品が展示されました。

藤代興里講師よりは講師作成の『虎徹 銘の変遷』と題したパンフレットが会員に配布され、
銘字や茎仕立の変遷を、年代を追って細かく解説していただき大変勉強になりました。

今回のように、これ程の虎徹の刀が一同に展示された事はあまり例がなく、
会員にとっては比較研究できるまたとない機会となりました。
中でも今回の出品中注目されるものに、直刀出来のものが三振含まれていることで、
普段なかなか目にすることが出来ないものであり、珍しくもあり貴重なものでした。

当日の鑑賞刀は次の五振でした。

一、 刀   『冬広』
二、 刀   『長幸於摂津国作之』
三、 短刀  『政清』 『応安元十二八』
四、 刀   『肥前一文字出羽守行広』
五、 太刀  『真則』 (古一文字)

鑑定刀の解説は、飯田俊久講師により各刀の特徴や見所を、
また類似刀工との相違点などを細かく解説していただきました。


新年の一本入札と云う事でもあり、なかなかの難物揃いの様でした。
その後、成績発表に引き続き表彰式と進行し、楽しい時の経つのは早いもので四時を迎え閉会となりました。
当日は七十六名もの会員が参加され盛大な新年の会となりました。

成績の上位入賞者は、
天位 宮野貞司氏
地位 竹本福一氏
人位 平田泰雄氏
の各氏でした。

今回、虎徹の刀が十四振も集められたのは、役員の方々の並々ならぬ努力のおかげであり、
会員一同感謝の念に絶えません。本当にありがとうございました。

次回開催は四月十七日京王プラザホテルにて、午後一時よりの予定です。
他支部の方々も奮ってご参加下さい。

 




◆第四回研究鑑賞定例会◆
平成21年11月21日(土)
◆内容◆  
刀剣入札鑑定と講評 『新刀について』 (大井 岳 講師)
刀装具の鑑賞と解説 『鐔と文化』  (飯山 嘉昌 講師)
参考刀鑑賞 支部役員出品


11月の定例鑑賞会       東京都支部 平田泰雄

神宮外苑の銀杏並木の黄葉も深まる十一月二十一日、 新宿京王プラザホテルにて、東京都支部の定例鑑賞研究会を開催しました。  

刀装具鑑賞の講師は飯山嘉昌氏、テーマは 「鐔と文化」でした。
古刀匠、古甲冑師、古正阿彌、法安、
尾張、京透、金山、山坂吉兵衛、桜山吉、
信家、金家、赤坂忠正、忠重、
林重光、平田彦三、南蛮、梅忠、
神吉深信、楽寿他、全部で二十九点の鐔を持参いただき、
時代背景と流行によって鐔も大きく 変化したことをお話しいただきました。

要約すると身分の低い武士たちが 使用したと思われる古刀匠・古甲冑師に始まり
桃山時代に上級武士たちが使用した 信家、金家、金無垢の梅忠鐔。
細川家の庇護のもとに開花した肥後鐔。
江戸時代に入り、緋色銅や南蛮鉄も使用され、 贈答品として大名間でも使用されるようになり、
中期になると裕福な町人の出現により、 江戸風で粋な意匠の赤坂鐔、金銀色絵を使用した
きらびやかな町彫鐔が出現したとのこと、
大変有意義な解説をしていただき、参考になりました。

刀剣鑑賞のテーマは慶長から元禄頃の新刀としました。
協会から大井岳講師にお招きし、慶長元和、寛永正保、寛文延宝
元禄各時代の姿に付き代表的な姿の刀を鑑定刀として
それぞれの時代の姿と作風につき、 解説をしていただきました。

鑑定刀は
一号刀 刀 初代伊予掾宗次
二号刀 刀 初代兼若
三号刀 刀 津田越前守助広(寛文七年紀)
四号刀 刀 坂倉言之進照包(延宝八年紀)
五号刀 刀 津田近江守助直(元禄二年紀)
鑑定刀として難しかったのは一号刀と二号刀、 特に初代の兼若は難物でした。

天位 宮野貞司氏「満点」
地位 冥賀亮典氏・梅野勉氏・小宮氏
人位 北山氏・荻野氏他五名

参考刀もテーマに合わせ、支部役員より 新刀各時代の物を十三点出品していただきました。
堀川国広・正弘、初代国助、初代越中守正俊、肥前国忠吉
武蔵大掾忠広、上総介兼重、三善長道、三代越前康継
法城寺国照、肥後守吉次、四代丹波守吉道、丹後守兼道

今回もテーマを定めた充実した鑑賞研究会ができました。
あらためて支部役員の方々に厚く御礼申し上げます。


なお次回の研究鑑賞刀としては寅年に因んで、虎徹の作品を中心に準備しています。
一月三十日、京王プラザホテルにて十二時半より開催予定です。
他支部の方も御参加くださいませ。

 




第三回研究鑑賞定例会

平成21年9月26日(土)
◆内容◆  
脇差の魅力について (平田 泰雄 講師)
刀装具のあれこれ  (萩原 守 講師)

参考刀鑑賞 支部役員出品


脇差の魅力  平田 泰雄 講師

脇差の魅力  平田 泰雄 講師

刀装具のあれこれ  萩原 守 講師


九月の定例鑑賞会       東京都支部 齋藤隆久

新涼の候、9月26日(土)の午後一時、新宿京王プラザホテル四階の「花」の間に於いて、会員65名が参集し、定例鑑賞会が開催されました。刀剣入札の鑑定・講評は、平田泰雄講師。「脇差の魅力」と題して講義があり、参考刀は、脇差二十一振りが出品。

【鑑定刀】

一号刀    脇差        備州長船盛光

                            応永三十二年八月日

二号刀    脇差        井上真改

                            (菊紋)延宝三年八月日

三号刀    小太刀    長光

四号刀    脇差        康光

五号刀    小太刀    備州長船自光

                            永徳二年二月日

【鑑賞刀】

一助宗上ル・国資・備州長船盛景 貞治三年十月日・備州長船康光 応永十九年二月日・信国・藤嶋友重・貞行・備州長船祐光  宝徳三年八月日・備前国住長船与三左衛門尉祐定・相州住綱廣・兼門作・藤原氏房作・出羽大掾藤原国路・於南紀重国造(二振り)・山城守藤原国清・(一ツ葵紋)主馬首藤原朝臣一平安代 享保拾三年八月吉日・尾崎源五右衛門助隆 天明八年八月日・荘司筑前大掾藤直胤 文政八年八月日 応政恭需作之・藤原正次(花押) 天保八丁酉年仲秋・直心斎兼虎 慶応二年十二月日

講義の要旨を記したメモが用意され、配慮が行き届いた、丁寧な解説でありました。

要約すると、初めて鑑賞する時、自然に視界に入る。地金、刃文は長いものとおなじで十分鑑賞出来る。取り扱いを覚えるのに最適。むら無く出来の良い物が多い。新刀以降は脇差しに傑作が多い。価格は刀の二分の一から四分の1程度で購入出来る。他に小太刀の作例につき原寸押形を使った説明があり、参考になりました。

刀装具鑑賞と講義は、萩原守講師。

「刀装具のあれこれ」と題して、実物に即した明解な説明を頂きました。

金家の鐔、信家の鐔、埋忠在銘の鐔等、桃山三名人をはじめとして、後藤上三代を含む古作の名品から、宗珉、長常、夏雄の傑作に至るまで、十数点の作品のそれぞれの「楽しみ方」が発表されました。


三星位は、次の諸氏に輝きました。

天位        阪井義徳

              坂田哲之

地位        宮野貞司

人位        梅野 勉

              喜多山巌

数多くの方の善意の協力の下、終始なごやかに、眼福の幸せを感謝しつつ、散会致しました。

 




◆第二回定例会◆
平成21年6月20日(土)
第二回研究鑑賞定例会

◆内容◆  
刀剣入札鑑定と講評  (檜山 正則 講師)
刀装具の鑑賞と解説  (福士 繁雄 講師)

刃紋の沸と匂いについて (藤代 興里 講師)
参考刀鑑賞 支部役員出品


刀装具の鑑賞と解説  福士繁雄 講師

刀剣入札鑑定と講評 檜山正則 講師

銘の解説 檜山正則 講師


◆第一回定例会◆

4月18日(土)

刀装具の鑑賞と解説      (松永 廣吉 講師)
刀剣の解説『新々刀について』 (冥賀 吉也 講師)

参考刀鑑賞 支部役員出品

◆東京都支部 定例研究鑑賞会     ポール・マーティン  

四月十八日(土)午後一時より、新宿京王プラザホテルに於いて、東京都支部
定例研究鑑賞会を行い、約六十名が参集し、初めに冥賀吉也講師より刀剣の
鑑賞作法について講習があり大変参考になりました。
 
引き続き、新々刀の概論の講義と鑑定刀の解説があり、内容としては新々刀
約百年の歴史の中、

第一期の先駆けと云われる時代では薩摩の元平・正幸の作風の相違点、
第二期は大坂新刀の助広・真改写しの時代で大坂新刀と新々刀の相違点、正秀・正繁・助隆などの相違点、
第三期は正秀が唱えた復古刀の時代、
第四期が勤王刀の時代に分類されることなど明確に解説されました。

新々刀の作風の特徴では、姿の見所、無地鉄(鏡鉄)や鍛接目の説明、
刃文では丁子刃の場合、足が刃先に抜ける等の説明があり、新々刀について
あまり得意ではなかった私にとっては大変参考になりました。

鑑賞刀は、新々刀を代表する以下の刀匠の名作十八振りの出品でした。  
大和守元平 大慶直胤  
固山宗次  加藤綱英・綱俊  
細川正義  左行秀  
勝村徳勝  泰龍斎宗寛  
山浦真雄  栗原信秀  
山浦兼虎  

鑑定刀は以下の五振りでした。
刀 伯耆守平朝臣正幸    寛政二年成二月
脇指 尾崎源五右衛門助隆   天明八年八月日
刀 源清麿 嘉永三年二月日
刀 左行秀 嘉永五年二月日
刀 美濃住松井藤原永貞 慶応二年八月吉日江戸青山造之  

入札結果は、天位・宮野貞司、地位 ・阪井義徳 浅川泰行、人位・高橋孝
中村和人の各氏でした。  

刀装具は松永廣吉講師が赤坂鍔について、上三代と四代忠時が作品の上で
繋がると思えること、忠重は作の字から初二代を見分けられることなどが解説
されました。作例の鍔は下記の作者の名品十八点が出品されました。  

初代忠正  
二代忠正  
三代忠虎  
初代忠時  
初代忠重  
二代忠重
 


刀装具の解説  松永廣吉講師

刀剣の解説 『新々刀について』
姿の説明をする冥賀吉也講師



◆新年鑑賞研究会・新年懇親会

1月31日(土)
刀剣入札と鑑定と講評 (日野原 大 講師)

刀装具の鑑賞と解説 ・ 宗珉とその一門 津尋甫及び金家について (園 平治 講師)
参考刀鑑賞 支部役員出品

鑑賞会 『刀剣入札と鑑定と講評』


鑑賞会 『刀装具の鑑賞と解説』


新年懇親会
支部長 立浪日郎氏による挨拶


新年懇親会
中村龍雄氏による乾杯



◆平成20年度鑑賞会・研究会◆
平成20年4月26日(土) 

平成20年6月21日(土)

平成20月9月20日(土)

平成20年10月4日(土)


特別見学会

東京支部では平成15年11月8日に靖国神社遊就館にて開催中の「江戸開府4百年記念、将軍家ゆかりの名刀展」の特別見学会、
ならびに同神社境内で「ふ
いご祭り」の見学会を開催いたしました。
ふいご祭りでは神門前で火入れ式を行い吉原義一刀匠(無鑑査)による鍛錬実技が行われました



靖国神社にて鑑賞会

11月30日東京都支部は九段の靖国神社遊就館で、靖国神社収蔵の刀剣、甲冑の特別研究鑑賞会を行い、140名が参加しました。
約40振りの刀剣と5両の甲冑を鑑賞した後、藤代興里氏が刀剣、三浦公法氏が甲冑の解説を行いました。


靖国神社鑑賞会風景

平成13年東京都支部夏季特別研究会
「栗原彦三郎と復興期の刀匠たち」

今回の夏季得悦研究会は栗原彦三郎師が昭秀と銘し自ら作刀しただけでなく、日本刀の伝統の復興に大きく貢献されたことはご承知のとおりです。
同氏とその一門、ゆかりの刀匠たちの作品などを鑑賞し、関係者のお話を伺いながら、あの時代をあらためて見直す機会にしたいと思います。

<日時> 平成13年8月25日(土)午後2時から
<会場> 刀剣博物館 4階講堂
<講師> 天田昭次 (刀匠、重要無形文化財保持者)
        「わが師、わが一門を語る」
       土子民夫 (刀剣ジャーナリスト)
        「日本刀を二度甦らせた男」
       冥賀吉也 (つるぎの屋)

        
「作品解説」


特別研修会見学

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